• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

酵母を利用したがん関連遺伝子の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 06283211
研究機関名古屋大学

研究代表者

松本 邦弘  名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70116375)

キーワードシグナル伝達 / MAPキナーゼ / TGF-β / IL-1
研究概要

TGF-βスーパーファミリーは、高等真核生物の増殖、発生及び分化において重要な役割を果たしている。
TGF-βによる細胞内シグナル伝達経路を制御する因子として、Smadsを介した経路とTAKlキナーゼを介したMAPキナーゼ(MAPK)カスケードが同定されているが、TAKlの経路とSmadがどのような関係にあるかは明らかでなかった。我々は、(1)TGF-βがTAKlを介して、MAPKの一つであるp38を活性化し、転写因子のATF2をリン酸化すること、(2)ATF2はTGF-β刺激に依存して、Smad3/Smad4と結合すること、(3)このATF2-Smad3/4複合体は、TGF-βによって転写が活性化されるPAI-1のpromoter DNAに結合すること、を見いだした。これらの結果から、TGF一βによる転写の上昇は、TAKl-p38MAPKカスケードを介して活性化されたATF2と、TGF一βレセプターによって直接活性化され核内に移行したSmadとが相互作用することにより、制御されていると考えられる。
TAKlはTGF-βのみならず、様々なサイト力インやストレス刺激によっても活性化される。それらの刺激の中で、インターロイキン1(IL-1)のシグナル伝達系におけるTAKlの働きが明らかとなった。IL-1は,細胞膜上のレセプターから細胞内シグナル伝達系を経て,2種類の転写因子(AP-1とNF-kB)を活性化し、炎症反応に関係する遺伝子の発現を誘導する。AP-1はMAPK力スケードによって活性化され、一方NF-kBはNF-kB-inducing kinase(NIK)とIkBkinase(IKK)から構成されるキナーゼカスケードによって活性化される。これらのキナーゼヵスケードは、いずれもIL-1レセプター複合体のアダプター分子であるTRAF6の下流で働く。しかし、TRAF6とこれらのキナーゼカスケードをつなぐ機構は明らかではなかった。我々は、(1)endogenousのTAKlは、IL-1依存的にTRAF6との結合と活性化が起こること、(2)活性型TAKlはJNKとNF-kB両方を活性化できること、(3)dominant negative型のTAKlは、IL-1刺激によるJNKとNF-kBの活性化を両方とも阻害すること、(4)TAKlがNIKのリン酸化し、NIKを介してIKKを活性化することを見いだした。これらの結果から、TAKlはIL-1シグナル伝達系においてTRAF6の下流で、MAPKKKとしてJNKMAPKカスケード活性化する役割と、NIK-IKKキナーゼカスケードを活性化する2つの役割を果たしていると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] M.Kurokawa: "The oncoprotein Evi-1 represses TGF-β signalling by inhibiting Smad3" Nature. 394. 92-96 (1998)

  • [文献書誌] J.N-Tsojz: "The kinase TAKI canactivate the NIK-1kB as well as the MAP kinase cascade in the interleakin-1 signalling pathway" Nature. In press. (1999)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi