研究概要 |
1、Class III受容対型チロシンキナーゼ(RTK)のうち、これまで報告していたc-kitに対するモノクローナル抗体(mAb)に続いて、PDGFRα,c-fms,flk1,flk2/flt3に対するmAbを完成させた。このうち、PDGFRα,c-fmsに対する抗体を利用した実験から、PDGFRαのhair canal細胞のアポトーシス誘導活性、c-fmsの骨髄内でのCFU-M産生に際しての役割、あるいはこの情報伝達系の破骨細胞多核化に関する役割等が本年の研究で既に明らかになった。 2、B前駆細胞の無血清培養条件の決定に続いて、より未熟な幹細胞の自己再生実験系の確立を目指した結果、M-CSF欠損ストローマ細胞株、c-kit-ligand(KL),EGF及び無血清培地mSFO2を用いる培養系で、多能性造血幹細胞が分化をせずに長期間自己再生を続ける培養条件を決定した。 3、B前駆細胞のchemically defined mediumを用いた培養実験系で、IL-7による細胞周期維持機構の生化学的基盤について検討し、この刺激によってcdk4/cyclinD3が活性化される(キナーゼ活性が出現する)事を明らかにした。 4、同じくB前駆細胞の細胞周期維持に関わる分子を検索することにより、fynがIL-7により活性化され、cytokinesisの最終段階を調節していることを証明した。
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