研究課題/領域番号 |
06283219
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
羽倉 明 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00029779)
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研究分担者 |
井上 正樹 金沢大学, 医学部, 教授 (10127186)
近藤 玄 大阪大学, 遺伝情報実験施設, 助手 (40243258)
井上 寛一 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (30176440)
湯通堂 満寿男 大阪大学, 微生物病研究所, 助教授 (70135747)
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キーワード | ヒトパピローマウイルス / がん遺伝子 / 子宮頚がん / トランスフォーメーション / トランスジェニックマウス / がん抑制遺伝子 / c-kit / SLF |
研究概要 |
ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頚がんをはじめ外陰がん、陰茎がんやある種の皮膚がん等の発生に重要な働きをしているウイルスである。上記腫瘍中、特に子宮頚がんは、わが国で年間約5,000人が死亡しており、女性にとって重要な疾患である。 本研究は子宮頚がんに関係するHPV16型、18型のがん遺伝子であるE6E7遺伝子の機能をin vitro、in vivoの両面から解析すると同時に、正常細胞中に存在すると考えられるE6E7遺伝子によるがん化を抑制する遺伝子を分離することにより、子宮頚がんの発生機構の解明を治療法の開発を目指している。 1.HPV16型E6E7 transgenic mouse(Tg mouse)に多発するtesticular tumorの発現にc-kit、SLF両遺伝子が重要な役割を果たしていることを、i)マウスc-kitに対する中和抗体処理実験、ii)Tg mouseのc-kit変異遺伝子およびSLF変異遺伝子の導入実験、により証明した。 2.16型E6遺伝子による培養細胞増殖昴進や造腫瘍性の獲得にはp53分解は直接関与しておらず、E6遺伝子の持つ他の機能(trans活性化能、p53結合能)などが関与する可能性を示した。 3.HPV18型E6E7遺伝子によるtransformationを抑制する候補遺伝子、N56は、Mel-18遺伝子の3'TURと高い相同性を持つことが分かった。 4.子宮頚がん抑制遺伝子の候補と考えられるAF3 cDNAについて解析し、この遺伝子が転写因子様の蛋白をコードする新しい遺伝子であること、また、大腸がんや肺がんの抑制遺伝子p5と同様細胞の増殖を負に調節するがん抑制遺伝子である可能性を示唆する結果を得た。
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