研究課題/領域番号 |
06283229
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研究種目 |
重点領域研究
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
長田 重一 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究部長 (70114428)
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研究分担者 |
近藤 亨 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究員 (30270573)
渡辺 大介 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究員 (00260175)
須田 貴司 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 第1研究部, 研究員 (70250090)
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キーワード | Fas / Fasリガンド / アポトーシス / CTL / サイトカイン / 変異体 / 細胞死 |
研究概要 |
生体の恒常性は細胞の増殖、分化ばかりでなく、その死によっても巧妙に制御されている。この生理的な細胞死はアポトーシスと呼ばれる機構で進行する。私達はある種のヒト細胞に対して障害作用をもつ抗Fas抗体によって認識される蛋白質Fasの分子生物学的、細胞生物学的解析から、FasはTNF受容体ファミリーに属し、アポトーシスのシグナルを細胞に伝達する未知のサイトカンに対する受容体であることを示してきた。本研究は、このような背景をもとに、Fasに結合するサイトカイン(Fasリガンド)を同定し、その発現細胞の同定などを通して、Fas、Fasリガンドの生理作用を解析することを目的とした。本年度は以下のような成果が得られた。 1.マウスおよびヒトFasリガンドcDNA、および染色体遺伝子を単離し、その構造を解析した。Fasリガンドは約270アミノ酸から成る膜タンパク質であり、ヒトとマウス間で種特異性はみられない。 2.マウス突然変異体gldにおけるFasリガンドの解析から、この変異マウスではFasリガンドのC‐末端部位に点変異が導入され、Fasに結合しえなくなっていることを示した。以前に私達はマウス突然変異IprはFasの変異であることを示しており、以上の結果は、Fasリガンド、Fasのどちらの機能を失っても異常リンパ球を蓄積し、自己免疫疾患が誘起されることを示している。 3.種々の組織、細胞におけるFasリガンドの発現を検討した結果、主に活性化されたT‐リンパ球がFasリガンドを発現することが示された。また、パ-フォリン遺伝子欠失マウスにおけるCTL(細胞障害性リンパ球)の解析から、Fasリガンドはパ-フォリンとともにCTLの主なエフェクター分子であることが示された。
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