研究課題/領域番号 |
06283229
|
研究種目 |
重点領域研究
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長田 重一 大阪大学, 医学部, 教授 (70114428)
|
研究分担者 |
須田 貴司 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 第一研究部, 副部長 (70250090)
江成 政人 大阪大学, 医学部, 助手 (90294058)
田中 正人 大阪大学, 医学部, 助手 (00294059)
福永 理己郎 大阪大学, 医学部, 助教授 (40189965)
|
キーワード | アポトーシス / Fas / プロテアーゼ / DNase / サイトカイン / 劇症肝炎 |
研究概要 |
Fasリガンドはその受容体Fasに結合し、核の凝縮、断片化、染色体DNAの切断を伴うアポトーシスと呼ばれる細胞死を誘導する。この際、カスペースと呼ばれるプロテアーゼが細胞内で活性化される。私達は、カスペースによって活性化されるDNaseおよびその阻害タンパク質を同定し、CAD(caspase-activated DNase),ICAD(inhibitor of CAD)と命名した。そして、これらのタンパク質を精製するとともに、その遺伝子の単離に成功した。CADは344個のアミノ酸から成る塩基性の蛋白質でそのC-末端には典型的な核移行シグナルが存在した。一方、ICADは331個のアミノ酸から成る酸性の蛋白質であり、そのアミノ酸配列上にはcaspase3の切断部位が2ヵ所同定された。大腸菌で発現させたICADはCADのDNase活性を特異的に阻止し、他のDNaseIやDNaseIIなどのDNase活性を抑えることはなかった。そこで、ヒトJurkat細胞にICAD発現vectorを導入し、ICADを大量に発現する細胞株を樹立した。この細胞に、Fasリガンドや、Staurosporin等でアポトーシスを誘導しても染色体DNAの切断は全く観察されなかった。このことは、アポトーシスに際しておこされるDNAの切断はCADによることを示している。すなわち、増殖している細胞では、CADがICADとの複合体として存在する。Fasの活性化やStaurosprinによりcaspaseが活性化され、このプロテアーゼがICADを切断、失活し、これにより自由になったCADは自ら持つ核移行シグナルにより核へ移行し染色体DNAを切断すると考えられる。
|