研究課題/領域番号 |
06301004
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研究種目 |
総合研究(A)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
薗田 稔 京都大学, 総合人間学部, 教授 (30052145)
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研究分担者 |
石井 研士 国学院大学, 文学部, 助教授 (90176131)
茂木 栄 国学院大学, 日本文化研究所, 助教授 (70200326)
桜井 治男 皇学館大学, 文学部, 教授 (00087735)
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キーワード | 鎮守の森 / 神社祭祀 / 風土祭祀 / 家郷祭祀 / 神社林保全 / 山岳信仰 |
研究概要 |
本調査研究は、現代に深刻な環境問題をめぐって日本の伝統的な宗教文化、特に神社神道が古来、日本列島の自然環境にどうかかわり、また近代から現代にかけての急激な社会経済の変化にどう対応してきたか、について個別事例の実証的調査を積み重ねようとするものである。初年度に当たる本年度は、まず基礎資料として昭和30年代から40年代にかけて文化庁宗務課が全国の社寺教会について実施した境内地調査の原票(東大・宗教研究室所蔵)から神社関係に抽出して、コンピューターにデータ入力するとともに、それに関連して各研究分担者が選択した諸地域での神社について、それぞれ実施調査を実施し、研究目的に沿う新たな知見を得た。 薗田と茂木は、広島県内の広域調査を実施し、まず広島市内の原爆被災神社5社の復興において「鎮守の森」に当たる境内林の再生がその中心事業であることを確認する一方、近郊の大森八幡神社の県指定天然記念物であった広大な杉の境内林が最近の台風による甚大な被害で消滅したのも確認した。しかし他に、宮島の厳島神社、西城町の熊野神社、府中市の甘南備神社をはじめ福山市、新市町、庄原市などの諸社を踏査し、それぞれ古代以来の風土祭祀あるいは家郷祭祀と環境保全との関連を確認することができた。また両者は、鹿児島県の屋久島における20社のほどの神社の予備調査を行い、その山岳信仰と各社との立体的な風土・家郷祭祀が変化に晒されつつ伝承されていることの知見を得ている。桜井治男は、和歌山県・三重県の熊野那智大社や尾鷲神社など数社を踏査し、また京都府宇治田原町の三社、兵庫県姫路市の射楯兵主神社などの祭祀調査においてそれぞれ地元の自然風土と神社祭祀との関連を調査した。石井研二は、基礎資料のデータ入力に当たる一方、東京都内の諸社を実地踏査して、大都市内の神社林保全ないし育成の歴史や現状につき実証的な知見を獲得した。
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