研究課題/領域番号 |
06301005
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
佐藤 康邦 東洋大学, 文学部, 教授 (80012508)
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研究分担者 |
星野 勉 法政大学, 文学部, 教授 (90114636)
水谷 雅彦 神戸大学, 国際文化学部, 助教授 (50200001)
中岡 成文 大阪大学, 文学部, 助教授 (00137358)
川本 隆史 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (40137758)
越智 貢 広島大学, 文学部, 助教授 (00152512)
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キーワード | 応用倫理学 / 生命倫理 / 環境倫理 / 情報倫理 / 多元文化主義 |
研究概要 |
本プロジェクトは、医療や環境といった各問題領域ごとバラバラの輸入・紹介から始められた「応用倫理学」を現代日本の文脈に埋め込む作業を通じて、「倫理学におけるマクロ的視点とミクロ的視点の総合」をめざそうとした。まとめの年にあたる本年度は3回の会議を開催し、全部で11の個別報告と総括がなされた。その大半は別途提出する研究成果報告書や公刊物に掲載されるので、要点のみ列記する。(1)C・テイラーによる「道徳的空間」の回復の主張を検討した星野報告。(2)公教育における多元文化主義の論争を軸に、従来の応用倫理学の盲点だった「教育」を取り上げた若松報告。(3)平石報告は、個々の医療現場での応用に偏っていたバイオエシッスクスを「公共政策」とどうつないでいくかという問題を考察した。(4)渡辺報告は、これまで対立する側面ばかり強調されてきた「環境倫理」と「生命倫理」とに通底する〈内在的価値〉を解明した。(5)ランドスケープという新たな視座から環境倫理の再構成を図った安彦報告。(6)C・マ-チャントの環境倫理構想を吟味した須藤報告。(7)環境、自然、技術に対する現象学的接近の可能性を探ろうとした溝口報告。(8)阪神大震災後のボランティア・ネットワークの調査に基づいて、情報倫理の新機軸を出した水谷報告。(9)教育という文化的再生産のメカニズムを解き明かそうとした壽報告。(10)討議倫理学のバイオエシックスへの応用を検討した霜田報告。(11)「ビジネス・エシックス」の争点をサ-ヴェイした田中報告。最後の総括では「《マイクロ・エシックス》の活用」--人間生活の基本動詞を対象に、あくまで個々の行為・交渉の場を見据えた倫理学的な探究を進める--という方向で、本総合研究をまとめることが提案・審議された。出版ルートも確保されているから、近い将来世に問い、研究の成果を社会に還元する所存である。
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