研究課題/領域番号 |
06301014
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉良 安之 九州大学, 健康科学センター, 助教授 (30195408)
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研究分担者 |
入江 詩子 長崎ウエスレヤン短期大学, 教養科, 専任講師 (30259733)
安達 義弘 久留米大学, 比較文化研究所, 助教授 (60175891)
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キーワード | 民間巫者 / 宗教的面接 / カウンセリング機能 / 「当てる」こと / ラポール / ユタ / イタコ / ゴミソ |
研究概要 |
1.現地調査・資料収集 前年度は沖縄地域に重点を置いた現地調査を行ったが、本年度はそれと比較する形で、東北地域(主に青森県津軽地域)に重点を置いて現地調査を行ってきた。津軽半島金木町の川蔵地蔵祭や下北半島恐山夏季大祭におけるホトケオロシの実際をつぶさに観察するとともに、巫者の自宅等において依頼者との間で行われる宗教的面接場面にも立ち会うことができた。一方、弘前市立図書館等において先行論文を収集するとともに、地元の研究者から巫者に関する最近の研究の動向を伺った。 2.分析 調査から明らかになってきたのは、宗教的面接において、巫者が依頼者に関連した事柄について超自然的な方法で「当てる」ことの重要性である。このことについては沖縄地域、東北地域の民間巫者に共通している。下記の点で、そのことが臨床心理学的なカウンセリング面接と比較するうえでの重要な分析の視点となりうることが確認された。 (1)「当てる」ことが巫者と依頼者とのラポール形成に重要な役割を果たしている。 (2)そのような形で形成されるラポールは、臨床心理学的なカウンセリング面接におけるものとは異なり、依頼者が自らの主体性をある程度放棄して引き込まれるような独特の性格を持つ。 (3)宗教的面接は、臨床心理学的なカウンセリング面接とは違って巫者によって主導される形で行われるが、そのような面接が依頼者にとって意味を持つのは「当てられる」ことで活発な連想が起こるからである。
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