研究課題/領域番号 |
06301020
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
矢澤 修次郎 一橋大学, 社会学部, 教授 (20055320)
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研究分担者 |
長谷川 裕 琉球大学, 教育学部, 助教授 (30253933)
新原 道信 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (10228132)
矢澤 澄子 東京女子大学, 文理学部, 教授 (00106296)
古城 利明 中央大学, 法学部, 教授 (70055185)
吉原 功 明治学院大学, 社会学部, 教授 (60062171)
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キーワード | 新しい社会連動 / アイデンティテイ / 情報化 / 高齢化 / ジエンダー / 日常生活過程 / テクノロジー / 社会学の社会学 |
研究概要 |
平成6年度の研究成果をふまえて、平成7年度は以下のような調査研究計画を実施した。 1)本調査研究の理論と方法について多くの示唆をもたらしてくれているA.メルッチ教授(Alberto MELUCCI)、そしてメルッチ教授と同様の問題提起を別の角度から行っているA.メルレル教授(Alberto MERLER)との間で研究交流をおこなってきた新原による報告を中心として、仮設枠組みと調査方法に関するツメをおこなった。 2)日常生活過程における意識的・無意識的な「戦略」、さらには心意現象のレベルで進行する微細な変容の過程を把捉しうるために、個々の調査者が調査過程で得た知見に関して、「社会学の社会学」的な論議をつみかさねた。 3)上記の方法にもとづいて、山口の島嶼部においては高齢化とジェンダー、大分と仙台においては情報とテクノロジーと地域の環境、横浜、沖縄、北海道においては、人の移動と地域の環境・開発に焦点を当てて、インテンシブな聞き取り調査をおこない、調査で得た知見について吟味した。 4)上記のような調査研究にもとづき各研究分担者のイニシアティブを尊重する形での調査研究を進めてきた。その結果、個々の調査地域における微視的な社会変動の徴候の一端に出会うこととなった。平成8年度の研究成果のとりまとめにむけて、現在とりわけ留意すべき点だと考えられている知見は以下のものである。 5)個々人が“うっすらと感じていること(Ahnung)"、そこで直感的にではあれとらえられているはずの個々人のリアリティ、それは個々人の“記憶"と“経験"の中に内包されているところの歴史と社会であるはずなのだが、このリアリティをとらえるための学問的認識さらにはその認識をささえるところの学問性がまさに問われている。少なくとも学問的認識を行おうとするものが、個々人のリアリティとの緊張関係の中でいかなるカテゴリーを自覚的に選びとるかということが問われている。そこでは、自分にとってのリアリティをかかえるものたちと、そうした個々人のリアリティの奥深くに入ろうとするものたちとの、個々人の感覚や知覚の間のズレや距離までをも問題とするような領域へと、学問は入り込まざるを得ない。
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