研究課題/領域番号 |
06301021
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大島 巌 東京大学, 医学部, 助教授 (20194136)
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研究分担者 |
稲葉 昭英 淑徳大学, 社会学部, 専任講師 (30213119)
野沢 慎司 静岡大学, 人文学部, 助教授 (40218318)
松岡 英子 信州大学, 教育学部, 助教授 (20126709)
藤崎 宏子 聖心女子大学, 人文学部, 助教授 (90145649)
石原 邦雄 東京都立大学, 人文学部, 教授 (00106212)
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キーワード | 生活ストレス / ソーシャル・ストレス / 家族 / 家族生活 / 対処パターン / 支援ネットワーク / 意識調査 / 精神障害者 |
研究概要 |
家族生活を中心とするストレス研究は、特定の大きな困難な状況にある家族の場合に限らず、一般の家庭生活場面をも対象として、ソーシャル・サポート研究との関連で捉える方向が期待されている。 本年度は、一般住民家族の生活ストレス調査の結果の分析と、特定ストレス状況にある精神障害者家族について、全国精神障害者家族会員モニター(1,667例)への郵送調査の回収を進め、結果を分析した。また、初年度に実施した川崎市と長野県東信地域の精神障害者家族の10年後追跡調査の結果を現地で報告し、結果に対する関係者の意見を聴取した。 まず、一般住民家族の生活ストレス調査の分析から、農村部の長野市と都市部の調布市の調査でほぼ共通して以下のことが明らかになった。すなわち、基本課題の一つである、M字型就業構造を考慮した場合の、子育て期に多い主婦専業や、子を抱えながら就業し続ける母親にストレスが高いという仮説はデータでは検証されなかった。また、ディストレスはライフステージや就業パターンには関連しない。その上で、都市の有配偶女性でディストレスが高くなる条件としては、階層要因の「世帯年収=低」が確認された。他方、サポート資源の観点から、夫とのレジャー同伴行動や夫の心理的・社会的サポートが多いほど、また社会参加程度や家族外の支えが多くほどディストレスが低いことが示された。 家族モニター調査では、1340例(80.5%)の回収があった。家族の変化については、「世帯の収入額の減少」(21.1%)「同病家族の病気・事故」(18.7%)「同居家族の死去」(11.1%)などが多く、ディストレス項目としても「将来への不安・焦り」が「大いにある」(45.5%)だった。これらのストレス状況に対して、専門職の関わりや家族会など特定状況に対応したサポート資源が多く導入され、有効性を示していた。 以上の結果を総合的に分析し、報告書に取りまとめた。
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