研究課題/領域番号 |
06301031
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
東郷 正美 神戸大学, 発達科学部, 教授 (70041283)
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研究分担者 |
島田 彰夫 宮崎大学, 教育学部, 教授 (70006724)
守山 正樹 長崎大学, 医学部, 助教授 (10145229)
松本 健治 鳥取大学, 教育学部, 教授 (10073694)
米山 京子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (30079743)
中村 泉 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (60091055)
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キーワード | 発育 / 老化 / 季節変動 / 双生児 / 乳幼児 / 視力低下 / 肥満 / 兵庫県南部地震 |
研究概要 |
平成8年度の研究は、平成6、7、8年度の3年間の連続した観測値に基づいて行われたものである。1.身長や体重のトレンドに現れる波動は、自己回帰過程であり、発育でも老化でも同じであった。2.有意な季節変動の例数は、沖縄では身長<体重であり、北海道では身長>体重である。沖縄から鹿児島市まで同じであるが、北九州に至って逆転する。3.95年兵庫県南部地震では、小学生の毎月の体重に、時系列解析でも、測定値及び前月との差のグラフでも、地震の影響が認められた。4.28組の双生児を毎週測定したところ、一卵性10組の身長では8組で二人の身長の発育曲線が重なり、体重もかなりよく重なった。身長では体重よりも遺伝的要因が強い。5.小学生は夏に体重が増加して肥満になるが、75年頃から、エアコンが普及し始めた時期と、肥満が問題にされ始めた時期がほぼ一致した。6.しのぎやすい夏の北海道でも、肥満の小学生は夏にも体重増加が見られた。7.身長の季節変動は月間の日照時間や平均気温と関係が高かった。8.乳幼児の身長・体重で時系列解析を行ったところ、従来の発育曲線の当てはめでは得られなかった発育の個人情報が得られた。母乳で育てられた子は、身長・体重とも有意な季節変動は人工栄養児に比べて少なかった。9.若年者の視力低下の原因と考えられる咬合力を幼児で調べたところ、個人差が極めて大きかった。10.沖縄の長寿村の保育園の月次データは、間もなく時系列解析が行える。11.分析方法としての時系列解析の発育学への適用は、欧米の研究者が確立した研究の道筋ではなく、東郷が71年に開始した発育の長期・頻回測定の研究の方向の中で見出されたものである。この方法は時間がかかり、しかも依拠する時系列解析のモデルによる制約も受けるという条件付きではあるが、発育のありのままの姿が見られる。今後も一歩でも完成の域に近づけたいと願っている。
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