研究課題/領域番号 |
06301041
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
末成 道男 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20054570)
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研究分担者 |
嶋 睦奥彦 広島大学, 総合科学部, 教授 (30115406)
瀬川 昌久 東北大学, 国際文化研究科, 助教授 (00187832)
横山 廣子 国立民族学博物館, 第二研究部, 助教授 (30143324)
田村 克己 国立民族学博物館, 第二研究部, 教授 (40094156)
武内 房司 学習院大学, 文学部, 助教授 (30179618)
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キーワード | ベトナム / 東アジア / 人類学と歴史学 / 社会変動 / 社会構造 / 比較 / 少数民族 / 東南アジア |
研究概要 |
本研究の目的は、ベトナム村について、東アジア諸社会、ことに中国南部および漢文明周辺諸地域として韓国との比較を中心としながら、その特色を明らかにすることにある。人類学的な現地調査の蓄積が、きわめて少ない現状において、国内で利用できる文献を十分活用し、また歴史学をはじめとする他分野との学際的協力のもとに、新しい視点から社会構造および文化に関する概念や理論創造のための基盤整備を行うことが急務である。ドイモイ政策の定着と国際情勢の緩和に伴い急速な変貌を遂げようとしているベトナムは、社会の動態的に把握するモデルとしても絶好の対象である。研究会における学際的な報告と討論は、このような観点をふまえ、相互に啓発裨益するところが多かった。具体的な成果としては、1.ベトナム社会、文化についての、これまでの研究の概観と展望の整理、2.東アジアの中でも特異性を示すベトナム村落について、従来の研究の整理と共に、年齢原理の重要性および周辺社会のそれとの比較の有効性が示されたこと、3.相続制度についても、最近の歴史的資料を援用することにより、近代までの女性の法的地位が現状から想像される以上にた高かったこと、4.研究対象として従来ほとんど省みられなかった伝統医療についても、ベトナム独自の南薬が中国系の北薬や西洋医学と共存し、その集積性が注目され、5.民間信仰において、従来の儒道仏の習合といった静態的捉え方に対し、個々の事例に即して動的側面を柔軟に把握することの重要性が議論された。6.少数民族に関しては、現状について依拠しうる資料が少なく、もっぱら文献研究に依らざるをえなかったが、民族間関係やエスニシティに関し興味有る議論が交わされた。全体を通して、比較の視点が重んじられ、中国、タイなどの周辺諸地域あるいは韓国日本のように離れていても著しい類似性が見い出されることを参加者全体が確認したことは、これからの研究に大きな刺激をあたえるであろう。
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