研究課題
武家、庶民、比較の3班に分かれ資料収集、整理とその分析に当たり、中間報告として以下の研究成果を得た。まず日本の家族については、菊地慶子が江戸時代における病人に対する家族や地域による介護の問題について論文を発表した。特に、盛岡藩など大名の家臣たちが、両親ら家族の病気の際に藩当局に届出て休暇が与えられる事実を明らかにした。浅倉有子は、江戸時代における美人意識について考察し、近世後期に至り地域の成立とともに、女性の風俗習慣を含めて、中央の美意識とは異なる独自の美が認識されると主張する。大口勇次郎は、「女性のいる近世」を著した。ここでは、武家の女性の生涯を検討するとともに、旧稿の農村女性の相続・労働・財産等の実情と、生き方をめぐって問題を提出した。最近の近世女性史の動向についても批判と検討を加えた。この内容をめぐっては研究分担者の中からも研究の視角・方法について論議を呼んでいる。外国史の立場からは、新井由起夫がイギリス中性における家族の問題を扱った「15世紀のプランプトン家と結婚」という論文を出し、三浦徹は、十字軍時代にパレスティナからダマスクスに移住した一家族の軌跡と、同家の活動による郊外の街区の形勢の過程を明らかにした論文を、外国雑誌に発表した。
すべて その他
すべて 文献書誌 (7件)