研究課題
基盤研究(B)
今年は本研究の最終年度となるため、3年間の研究を総括し研究報告書にまとめあげることを課題の中心とした。以下、研究報告書に見られる研究実績の概要を述べる。武家家族の研究では、菊地の「武家の家族と看病」が、常陸下妻藩におけ看病看護の新資料を紹介し、武士家族の看病と、藩による家中家族に対する扶助施策の実情を明らかにした。吉見は、『寛政重修諸家譜』の総合的分析を目標としたが、基礎データの吟味が必要であることが判明し、岡山藩の家臣団についての微視的考察を進めている。庶民家族については、岩田「幕末期の家日記にみえる一女性の生活」が安房国の農家女性について江戸奉公の様態と帰村後の家族と一緒の生活を明らかにし、中村「明治初年中仙道塩尻宿の飯盛女」は、明治4年の戸籍によって宿場の飯盛女の実態を究明した。浅倉「お国美人の誕生」は、江戸時代における美人の評判を、お国意識の成立という観点から説いたユニークな地域文化論である。鈴木は、肥後国の人畜帳から膨大なデータを抽出して17世紀における農村の家族形態を検討している。女性史、比較史の視点からの研究では、新井、三浦が外国の家族史に関する知見を紹介するとともに、近世家族の分析に有効な助言を与えた。大口は「女性史ノート」を書いて、最近の女性史の動向を論じた。
すべて その他
すべて 文献書誌 (7件)