研究課題/領域番号 |
06301045
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研究種目 |
総合研究(A)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
栗原 優 神戸大学, 文学部, 教授 (70030129)
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研究分担者 |
武本 竹生 神戸商科大学, 教授 (40047460)
根無 喜一 関西学院大学, 文学部, 教授 (00180703)
田中 穂積 関西学院大学, 文学部, 教授 (60098324)
鈴木 利章 神戸大学, 文学部, 教授 (30073357)
森田 鉄郎 神戸大学, 名誉教授
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キーワード | 民族 / 人種 / 西洋史 |
研究概要 |
本年度は大体において、文献・資料の収集と研究動向の整理にとどまったが、しかし、若干の研究者は、すでに予備的な研究成果の発表を行なっている。田中穂積は、前4世紀後半以降、ギリシャ人がヘレニズム諸君主に重用され、ヘレニズム社会における上層階級を形成したことを明らかにし、ヘレネスとバルバロイの対立が、階級関係の基礎をなしたと論じた。森田は、地中海世界における文化伝播経路としてのイタリアの特殊性が、その南北格差の基礎となったとの見通しをもって、文献・史料の収集を行なっている。植田は、文献・史料の整理からフランス革命当時広範に見られた「外国人嫌い」の心性が、フランス「中華思想」に根をもつものであるとの見通しに達し、武本は、ナポレオン体制期の民族問題に関して、諸民族に対する統治の具体的差異の把握と全体的な民族支配の構図を把握することを課題として設定した。田中きく代は、アメリカン・エスニシティ研究の動向を、カルチュラル・プル-ラリズムとマルティカルチュラリズムの線から整理した論稿を発表した。根無は、19世紀後半にイギリス陸軍がその存在意義を当時の社会不安と植民地戦争への対応に見いだしていった過程を分析した。黒住は、ハプスブルク帝国の崩壊過程を分析して、諸民族社会の自力更正のための組織と帝国との緊張と相互依存の微妙な関係を明らかにした。石井は、革命期ロシアに関する文献・史料の整理から、革命期において民族問題が未解決のまま残され、のちに先鋭化させるもととなったとの見通しを明らかにした。栗原は、ユダヤ人絶滅に関する文献・史料を整理して、おもに東部戦線においてユダヤ人絶滅に携わったり、見聞したりした兵士からの情報によって、遅くとも1943年にはかなりの一般ドイツ人がユダヤ人虐殺を知っており、一般ドイツ人は知らなかったとの主張は維持できないのではないかとの見通しをえた。以上である。
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