研究分担者 |
三木 知博 大阪逓信病院, 第一内科, 医長 (30239206)
平林 勝政 国学院大学, 法学部, 教授 (40086971)
塚本 泰司 関東中央病院, 脳神経外科, 部長
斉藤 一之 埼玉医科大学, 助教授 (10215535)
岩志 和一郎 早稲田大学, 法学部, 教授 (70193737)
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研究概要 |
1994年度には農山村地域の典型たる島根県鹿足郡日原町において,また1995年度には都会地の典型として東京都江戸川区において,高齢在宅患者の自宅を訪問して実態調査を行った。その成果を比較検討をするごとを通して,わが国の在宅医療・看護の質を確保するための問題点を探り,その解決の方策を検討した。主な結果は次の通りである。(1)在宅医療を完結させるためには,実は施設の充実が不可欠である。(2)在宅医療という形態の選択,継続の意思の決定の為には,特別の手続と特別の訓練を受けた人を必要とする。(3)現在の在宅医療は女性,とりわけ嫁への負担が大きい。これを当然とする社会情況を問い直してゆくとともに,現に担われている負担を軽減する方策が緊急に必要である。(4)在宅医療の本格的な展開のためには,住宅対策を基本的に見直す必要がある。(5)民間企業が本当に必要とされている地域また領域に拡大してゆくためには,行政庁の指導の統制といった強力な介入が求められる。(6)施設と利用者の関係を,行政庁による措置制度から自由契約に移すという主張にはにわかに賛成しえない。現行の措置制度が陥っている欠陥を改善する必要は高いが,措置というものが本来的に備えている長所をこそ生かしてゆくことが必要である。(7)個別的論点として:痴呆性高齢者のために特別の施設が必要である。リバビリテーションの拡充の必要性は高い。カウセリングの機能の充実が,ケアの改善・精神的安定に有用であるばかりでなく,行政庁の施策改善のために有用である。患者・介護者からの苦情申し立ての制度も同様である。
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