少年法制における子どもの人権に関する国際比較研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06301062
• 研究機関: 国学院大学
• 研究代表者: 澤登 俊雄 國學院大學, 法学部, 教授 (70052090)
• 研究分担者: 村井 敏邦 一橋大学, 法学部, 教授 (70017581) ; 前野 育三 関西学院大学, 法学部, 教授 (60079639) ; 福田 雅章 一橋大学, 法学部, 教授 (20029739) ; 荒木 伸怡 立教大学, 法学部, 教授 (30062665) ; 斉藤 豊治 甲南大学, 法学部, 教授 (00068131)
• キーワード: 子どもの権利 / 比較法 / 少年法制 / 少年司法 / 国際準則 / デューブロセス / 少年非行 / 少年法改正

研究概要

前年度において相当進捗した共同調査項目表に基づく文献調査を完成させるとともに、文献では十分に調査しきれない項目等につき、外国研究者・実務家への質問等による補充調査を行い、その結果に基づいて、主目的である「各国少年法制における子どもの権利保障」の状況について総括した。
そのため、今期は、共同の研究会を3回開催し、とくに前半においては、これまでの調査によって得られた結果が何を意味するのか、それが日本の少年法制の評価・改革にいかに寄与しうるかについて、比較法的な討議を行い、後半は、上記の検討結果を踏まえ、この成果の公表として、総合的な書物(澤登・斉藤編『少年司法と適正手続[仮題]』)の作成作業に入った。現在、第一次の原稿が集まり、これをもとに各国担当グループ内、グループ間でさらに詳細な検討を進めており、研究成果公表助成金を申請中である。
この書物は、少年手続を、審判前(「警察と審判前の手続」)、審判段階(「裁判所と事実認定手続」)、処分決定と処遇段階(「処分の決定と処遇」)の3段階に分けて、それぞれ、少年の権利保障、適正手続の観点から有意義と思われる25項目について、上記の共同調査項目表により、最新の法令、判例、運用等を紹介した。ここでは、各質問番号を各国別に横断することで、明確に各国の比較ができるよう工夫されている。さらに、各段階、各国ごとに簡潔な「概説」を付し、少年法制全体のなかでの位置づけを明らかにするようにした。最後に、適正手続、国親思想、保護主義、刑罰主義、職権主義当事者主義等の基本概念を軸に「まとめ」を行った。なお、本書は、今年の12月には、成文堂より刊行の予定である。

研究成果

• [文献書誌] 荒木伸怡: "調布駅南口事件の現状と展望" 刑事弁護. 5. 21-26 (1996)
• [文献書誌] 土井政和: "ドイツの少年司法" 刑事弁護. 8. 111-115 (1996)
• [文献書誌] 葛野尋之: "少年司法における「保護」の理念とリアリティ(1)" (静岡大学)法経研究. 44・4. 347-369 (1996)
• [文献書誌] 前野育三: "触法事件と児童相談所" 法と政治. 47・1. 125-165 (1996)
• [文献書誌] 高内寿夫: "事実認定の構造論からみる陪審制と職業裁判官制" 白鴎法学. 6. 111-146 (1996)
• [文献書誌] 比嘉康光: "1923年ドイツ少年裁判所法の教育処分" 法学志林. 93・3. 3-29 (1996)
• [文献書誌] 村井敏邦: "イギリスの少年司法" 刑事弁護. 9. 164-168 (1997)
• [文献書誌] 酒井安行: "アメリカにおける児童の権利条約をめぐる議論" アメリカ刑事法の諸相(成文堂). 367-391 (1996)
• [文献書誌] 前野育三: "スウェーデンの少年司法" 刑事弁護. 8. 116-120 (1996)
• [文献書誌] 新倉 修: "少年犯罪(特集・これからの刑事法)" 法学セミナー. 502. 42-45 (1996)
• [文献書誌] 服部 朗: "清輝君いじめ自殺事件家裁決定を考える" 法律時報. 68・1. 30-37 (1996)
• [文献書誌] 村井敏邦: "少年手続をめぐる現今の議論状況" 国士館法学. 28. 393-417 (1996)
• [文献書誌] 村井敏邦: "刑事訴訟法" 日本評論社, 331 (1996)
• [文献書誌] 刑事立法研究会(編): "入門・監獄改革" 日本評論社, 229 (1996)
• [文献書誌] 斉藤豊治: "少年法研究1" 成文堂, 273 (1997)