日本の資産価格の最近の大変動と投資家行動の理論的・実証的研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06301066
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 三輪 芳朗 東京大学, 経済学部, 教授 (90109158)
• 研究分担者: 村瀬 英彰 横浜国立大学, 経済学部, 助教授 (40239520) ; 西村 清彦 東京大学, 経済学部, 教授 (70164580) ; 舟岡 史雄 信州大学, 経済学部, 教授 (50143962) ; 倉澤 資成 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (40018057) ; 貝塚 啓明 中央大学, 法学部, 教授 (10028037)
• キーワード: 資産市場 / 株式市場 / 土地市場 / 投資家行動 / バブル経済 / 機関投資家 / 資金運用 / ファンド・マネージャー

研究概要

前年度に引き続き、資産市場を株式・債券市場と土地市場の二つにわけて投資家行動についてのアンケート調査をもとに、日本の投資家行動の分析を行い、80年代後半における「バブル」の生成と崩壊に関する基礎資料を収集し、それに基づくモデル分析を行った。
三輪を中心として、貝塚、倉澤、船岡が株式・債券市場を担当し、1980年代のバブル期におけるファンドマネーの行動を批判的に検討した。特に制度的な要因を検討し、ファンドマネージャーの行動が海外のそれと比べて経済合理性からみて大きな問題を内包していたことを明らかにし、その原因を分析した。更に、過去に指摘された問題に対してなされた是正策を検討し、その有効性を検討し将来の展望を行った。特に問題は単にファンドマネージャーにとどまらず、日本の機関投資家全体に当てはまる問題であるため、その影響を、日本の資産市場の産業組織の面から堀り下げた。
土地市場では、西村を中心として中神、前川と村瀬が担当し、特に商業地における資産家行動を分析するため行ったアンケート調査を詳細に分析した。それによって、明確な投資指針を欠きながら、不動産投資が急速に急拡大していったことが明らかになった。現在の地価下落が深刻な影響を及ぼしているのは、こうした過去の投資態度に起因している面が大きいことがわかる。特にこの調査では、建て前と実際の投資の間の乖離が大きいことが間接的にではあるが、明らかになっている。更にその分析に基づき、様々な形での土地市場モデルを分析し、その妥協性を検証した。こうした分析をもとに、新しく土地や建物一体の収益率が過去30年間推計する作業を行い、日本の土地市場で農地、住宅地、商業地に分け、制度的な要因がどのように土地市場の情報の意味での効率性と関連しているかを検討した。

研究成果

• [文献書誌] 西村清彦: "「日本の土地の超過収益率:農地・住宅地・商業地」" 経済学論集. 60. 124-135 (1995)
• [文献書誌] 村瀬英彰: "「株式所有構造と役員賞与の決定」" 日本経済研究. 29. 76-93 (1995)
• [文献書誌] 村瀬英彰: "「地価形成に関する-考案:バブルとオプション」" 経済研究. 47(発表予定). (1996)
• [文献書誌] 三輪芳朗: "「金融・資本市場の規制緩和」" 証券アナリストジャーナル. 2-14 (1995)
• [文献書誌] 中神康博: "「首都圏商業地価の動学計量分析」" 住宅土地経済. (発表予定). (1995)
• [文献書誌] 中神康博: "「不動産市場における現在価値モデルについて」" 住宅土地経済. 16. 20-27 (1995)
• [文献書誌] 前川俊一: "「最適開発時期に対する固定資産税の効果」" 明海大学不動産学部論集. 29-43 (1996)
• [文献書誌] 前川俊一: "「不確実性下の地価形成メカニズムと取引価格の規制」" 制度の経済学. 233-258 (1995)
• [文献書誌] Miwa, Yoshiro: "「機関投資家の意思決定過程とファンドマネジャーの行動に関する調査」" Discussion Paper Series,University of Tokyo,東京大学出版,(1994)
• [文献書誌] Miwa, Yoshiro: ""Firms and Industrial Organization in Japan"" MACMILLAN PRESS, (1995)
• [文献書誌] 倉澤資成: "『構造変化と企業行動』" 日本評論社, (1995)