統計調査環境の変容と調査個票の信頼性にかんする実証的研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06301067
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 濱砂 敬郎 九州大学, 経済学部, 教授 (70039791)
• 研究分担者: 永井 博 熊本学園大学, 経済学部, 教授 (50069952) ; 近 昭夫 九州大学, 経済学部, 教授 (20021826) ; 藤江 昌嗣 明治大学, 経営学部, 教授 (50173406) ; 森 博美 法政大学, 経済学部, 教授 (40105854) ; 坂元 慶行 文部省統計数理研究所, 教授 (50000211)
• キーワード: 統計調査環境 / プライバシー / データ保護 / 統計精神 / 国勢調査 / 都市化 / 統計制度 / 統計意識

研究概要

平成6年度に実施した地域住民を対象とした統計意識調査にたいして、平成7年度は、統計調査環境の変容状況を統計調査員側から把握するために、国勢調査員を対象とする実態調査を実施した。実態調査は,総務庁統計局、対象都県統計課と対象市町村の協力によって、国勢調査をとりまく緊迫した状況にもかかわらず、順調に進行した。
1)実態調査の調査地点は、上記の住民調査の調査地点に対応する1都4県(東京都町田市、福岡市、熊本県,鹿児島県、長崎県の14市町村)で、回収率79%と成功裡に終了した。
2)標本数は2400で、とくに問題の焦点である都市部において、十分な標本数(町田と福岡で585と497)と回答者数(同397と419)が得られ、農村部でも調査地点を拡張することによって、標本数と典 型調査法の特性を考慮すると、かってない分析密度の高さが確保できた。
3)集計結果と分析結果は、住民調査と同様に、『日本統計研究所所報』平成8年3月号への特集掲載と日本統計学会(同9月)での研究発表を予定しているが、これまでの調査分析において、住民の統計意識調査と比較することによって、地域環境=調査環境と統計意識の空間的な変容が把握できている。
4)調査票には国勢調査員の体験や要望を記入する意見記入欄を特設したが、とくに都市部において多くの意見記入が得られ、それを系統的に整理することによって、調査員の生の声に表れた調査環境の実態を伝えることが可能になった。
5)来日したNeubauer教授(フランクフルト大学)と、統計環境実態調査を日独で実施する企画を立案した。

研究成果

• [文献書誌] 濱砂敬郎: "統計環境実態調査の視角と方法" 研究所報(日本統計研究所). 21. 1-9 (1995)
• [文献書誌] 朝倉啓一郎: "統計調査環境の概況" 研究所報(日本統計研究所). 21. 13-22 (1995)
• [文献書誌] 近 昭夫: "福岡市における統計環境の変化" 研究所報(日本統計研究所). 21. 23-52 (1995)
• [文献書誌] 坂田幸繁: "補論 都市部団地における統計意識の変化" 研究所報(日本統計研究所). 21. 53-71 (1995)
• [文献書誌] 西村善博: "農村部の属性別分析" 研究所報(日本統計研究所). 21. 72-93 (1995)
• [文献書誌] 永井 博: "農山村における統計調査環境の変容-熊本県天部町の実態分析-" 研究所報(日本統計研究所). 21. 94-113 (1995)
• [文献書誌] 松川太一郎: "統計調査環境の地域分析-都市と農村-" 研究所報(日本統計研究所). 21. 117-146 (1995)
• [文献書誌] 濱砂 敬郎: "統計調査環境の地域分析-団地と離島-" 研究所報(日本統計研究所). 21. 147-176 (1995)
• [文献書誌] 池田 伸: "統計意識の社会分析:「福岡」地区の回答結果を中心に-" 研究所報(日本統計研究所). 21. 179-194 (1995)
• [文献書誌] 濱砂敬郎ほか: "統計環境の現状-社会意識と統計意識-" 第63回 日本統計学会 講演報告集. 170-171 (1995)
• [文献書誌] 濱砂敬郎ほか: "統計環境実態調査(1994年)について" 第63回 日本統計学会 講演報告集. 172-173 (1995)
• [文献書誌] 松川太一郎: "統計調査環境の地域分析" 第63回 日本統計学会 講演報告集. 174-175 (1995)
• [文献書誌] 西村善博: "統計調査環境の変容-78,94年九大調査における農村部の性・年齢別,職業別比較分析-" 第63回 日本統計学会 講演報告集. 176-177 (1995)
• [文献書誌] 藤江 昌嗣: "調査員からみた統計環境-川口市統計調査員アンケートから-" 第63回 日本統計学会 講演報告集. 178-179 (1995)