研究分担者 |
崎山 政毅 京都大学, 農学研究科, 助手 (80252500)
古川 彰 中京大学, 社会学部, 助教授 (90199422)
末原 達郎 富山大学, 人文学部, 助教授 (00179102)
秋津 元輝 京都大学, 農学研究科, 講師 (00202531)
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 助教授 (90176082)
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研究概要 |
昨年度に続いて,兵庫県丹波地域と愛知県矢作川流域を中心に調査研究をおこなった。 丹波地域では,内発的地域再編に焦点をしぼった。まず,注目したのは農村活性化運動である。この運動は,農村の自発的な活動を期待するものではあるが,その枠組みはそもそも国の農政が準備したものである。そこで,基本法以降の農政の農村政策の中で農村活性化という課題をどのような過程で生まれてきたのかについて,いわゆる『農業白書』を素材にして分析した。具体的な活性化団体としては,氷上郡市島町にみられる事例を取りあげ,農村における運動体の組織展開の特質,およびこの事例のユニークさを明らかにした。さらに,多紀郡丹南町においては,戦後における生活改善運動と共有林運営の経過に焦点を当てて,自発的農村再編の現れ方や,自らの共同的地域資源利用のあり方をとくに歴史的観点から明らかにした。後者においては,共有林をコモンズとして利用する可能性についても考察した。 氷上郡青垣町では,従来顧みられることの少なかった公民館活動を中心とした新しい農村文化活動の実態を明らかにした。さらに,近年盛んになってきた農村へのツーリズムに関連して,各地で建設される博物館等に注目し,やや広域的観点から,ツーリズムを受け入れる側の農村の変化について考察をくわえた。 他方,矢作川流域地域においては,山村,農村,都市を流れる矢作川を対象として,その水質の浄化運動に関与する都市と農村の関連について明らかにした。矢作川における環境運動が,都市と農村の関与のあり方によっていくつかの画期に分類できること,しかも中流部にある産業都市・豊田市との関係が特に重要であることを明らかにした。また,そうした運動を通じて,新たな都市農村関係のネットワークが形成されつつあることも示した。
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