研究課題/領域番号 |
06301085
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研究種目 |
総合研究(A)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
斎藤 功 筑波大学, 地球科学系, 教授 (90006586)
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研究分担者 |
松村 祝男 日本大学, 経済学部, 教授 (30049952)
白坂 蕃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40014790)
犬井 正 独協大学, 経済学部, 教授 (20184731)
元木 靖 埼玉大学, 教養部, 教授 (00092023)
山川 充夫 福島大学, 経済学部, 教授 (00094285)
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キーワード | 持続的農業システム / 耕作方式 / 米麦2毛作 / 商業的農業 / 再生産過程 / 村落組織 / 空間的関係 / 意志決定 |
研究概要 |
研究成果は、前述の分担課題にそって多岐にわたるが、ここでは研究代表者と研究分担者田林の成果を上げておく。研究代表者は、東京北郊において花卉栽培の盛んな鴻巣市寺谷集落を調査した。その結果、元荒川の自然堤防上に位置する寺谷集落では、後背地水田の収穫量を補填する意味で戦争直後にパンジ-の栽培が始まった。花卉は次第に花野菜、アザレア、サイネリア、シクラメンなどの鉢物花卉栽培に変わった。また、近年ではゴールデンシプラスなどの新種やヒット商品の栽培に力を注いでいる。産地形成の過程で農民はオート三輪の導入、ビニールハウスの建築などほぼ5年毎に花卉栽培を続けるか撤退して兼業化をはかるかという意志決定を迫られた。なかでも、水稲の委託栽培と高冷地への花卉の山上げ栽培は、花卉栽培の持続的栽培にとって重要な契機となった。 ここで、伝統的米麦2毛作と商業的花卉栽培システムを対比して農業の持続性を考えると、両者の空間的意味あいが大きく異なることが判明した。すなわち、米麦2毛作システムでは灌漑用水を含めても生産システムは農家内および村落内で完結していたのに対し、商業的花卉栽培システムでは鉢や土壌、苔などの生産手段や山上げ栽培を通じて関東地方内だけに留まらずより広域的になることが判明した。ヒット商品や新商品の開発などは、花卉栽培が世界と結ばれていることを意味するものであろう。 研究分担者の北陸地方の村落組織とコミュニケーションの調査を通じ、持続的農村システムを維持して行くのには、生産過程というよりも上部構造の村落組織の分析が不可欠であることを明らかにした。 なお、本成果の多くのものは今夏筑波大学で開催される"Tsukuba International Conference on the sustainability of rural systems"で発表の予定である。
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