研究課題
総合研究(A)
本研究は、世界各地の情報教育及びコンピュータ教育先進国を対象に、「情報教育の実践や教具としての情報機器の活用をどのように行っているのか」、そして「学校現場での活動を行政や研究機関、民間企業がどのように支援しているのか」を文献や現地の研究者などとの情報交換に基づいて明らかにすることを目的としている。特に、研究メンバーの半数以上が、以前に同様の調査研究を行っていることから、その後の変化の状況に焦点を当てて調査し、また、我が国の現代的課題に直接役立つ領域に焦点を当てて分析を行った。過去の調査では、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどで特に情報化への対応が進んでいた。今回は、これ等の国の中から、カナダを除く各国と、新たに韓国、東南アジアについて、収集した資料や現地の研究者へのインタビューを通して現状を明らかにした。また、日本の緊急課題である情報教育カリキュラムの開発に示唆を得るため、ユネスコ、韓国、オーストラリア、イギリスの情報教育カリキュラムをより深く分析した。アメリカでは、学習への動機付けのためにマルチメディアが、また、課題解決的学習にインターネットが活用されていた。また、イギリスやオーストラリア、韓国では、情報教育を何らかの形で学校教育の中に明確に位置づけることに力が注がれていた。東南アジアでは、教育に役立つ情報資源の蓄積に力を入れていた。今回、情報教育カリキュラムについては、西之園らが開発した日本の高等学校普通科向け情報教育カリキュラムと比較することで、日本のカリキュラム開発への指針を得た。特に、諸外国のカリキュラムでは、高等学校段階以前に、より組織的に情報技術の活用を体験させること、そのために、情報教育を教科や試験制度の中で明確に位置づけていること、教養としての情報教育と、高等教育進学者向け情報教育、職業教育としての情報教育を区別し、目的に応じた整合的なカリキュラムが開発されている点などが参考になると考えられる。
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