研究概要 |
この総合研究の補助金は平成6,7の両年末に「調和解析セミナー」と題して開催した研究集会のためにほとんど使った.調和解析セミナーは過去10年ほど定期的に行われており,今回の総合研究も,研究代表者や分担者として名前の出ている人々だけでなく,調和解析セミナーに関わっている多くの研究者の共同によるものである.ここのわずかのスペースで研究成果すべてを網羅したり簡単に要約したりすることはできないので,以下,いくつかの分野ごとに主な成果を表題的に記すことにする.(1)Fourier解析:Bochner-Riesz平均作用素の種々の評価:Fourier multiplierの作る空間のBanach代表的性質;非負なFourier変換を持つ関数の性質.(2)Euclid空間上の実解析:掛谷最大関数,Littlewood-Paley型関数,Marcinkiewicz積分,特異振動積分作用素,などの様々の評価.(3)関数空間:Euclid空間やさらに一般にCoifman-Weissの意味の等質型空間などの上で,種々の関数空間の性質や,それらの空間での様々の作用素の評価,その応用;Morrey空間の性質とその応用;局所コンパクト群やフラクタルなどの上の様々の関数空間.(4)Wavelet理論:超局所的なwavelet理論;半単純Lie群上のwavelet理論;擬微分作用素や弱定常過程への応用.(5)多変数複素解析:複素多変数Bloch関数;接Cauchy-Riemann方程式;Hardy族;強擬凸領域の境界で退化する2階楕円型作用素の調和解析;□_b方程式;Cauchy-Sego射影の評価;など.(6)偏微分方程式:Euclid空間上の調和解析や実解析の結果や方法を応用した様々の研究.(7)その他:Walsh,Laguerre,Jacobiなどの古典的な直交関数系の性質;フラクタルに関する研究;など.
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