研究課題
偏微分方程式論の研究の内でも、日常的問題に関わる分野を中心に総合的な研究を行った。その具体的方法としては、それぞれの課題を各分担者が中心となって中規模の、あるいは小規模の研究集会を開催し討論を繰り返して理論の発展を図った。特に、若手の研究者のエネルギーを有効に用いるために、若手を中心とした研究集会に力を入れて、運用した。また、散乱理論とその応用に関しても力を注ぎ日本の数学者で散乱論とその応用を研究している人を集めて、情報交換と共にこれから、どのような問題をどのように研究していくかを熱心に討論した。それと同時に、日本において問題の重要性に比して研究者の数が圧倒的に少ない現状を鑑み、偏微分方程式論研究者の中から、また大学院生の中からこの問題に取り組む人を生み出すべく、これらの研究集会に参加してもらった。この研究課題は2年間に亘って行われたが、その一年目の終わり近くに神戸大地震が起こった。我々は、この地震波の逆問題も重要な課題として考えてきた。勿論数学理論としての研究が中心課題ではあるが、この数学的理論の研究の発展が自ずと、地学や地震学との交わりを深めることにより、実用的意味を持つまでに発展する事が望まれる。今後、数学研究者の枠を越えて、工学、地学などの研究者と理論と実際とをつきあわせつつ研究を進めることができるようその機会を求めている。このような、課題がもう少し大規模に、分野を越えて共同研究ができるようになることを願っている。
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