研究課題/領域番号 |
06302041
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三浦 宏文 東京大学, 工学部, 教授 (50010682)
|
研究分担者 |
神崎 亮平 筑波大学, 生物科学系, 講師 (40221907)
下山 勲 東京大学, 工学部, 助教授 (60154332)
|
キーワード | カイコガ / フェロモン / 定位行動 / 行動発現メカニズム / フリップ・フロップ |
研究概要 |
昆虫の定量的解析やその動きを作り出す外骨格の詳細な構造については観察、計測方法の進歩によって次第に明らかになってきた。一方、行動の発現やその制御機構に関する中枢神経系の単一神経レベルでの研究も活発に行なわれている。しかし、神経システム全体の機能としての行動制御メカニズムについてはまだ明らかになっていない。そこで、本研究ではできるかぎり構造などの良く分かっている昆虫をモデルとして用いて、行動発現メカニズムを解明しようとしている。生物学者と工学者との共同研究であるが、まず、これまでの研究成果として以下のようなことが明確になってきた。すなわち、触覚で感受されたフェロモン情報は、電子回路で記憶素子として使用される「フリップ-フロップ」と類似の動作特性を持つニューロンで処理される。この神経情報は脳から胸部運動系に伝達されて、プログラム化されたジグザグ行動を誘起し、フェロモン源探索へと向かわせる。このジグザグ行動のアルゴリズムとその行動を制御する脳内情報処理機構の詳細が明らかになりつつあるのである。また、工学側の研究成果としては、リカレントニューラルネットワークを利用して、カイコガに定位行動(雌の発するフェロモンを雄が追跡して行く行動)を発現させる様な学習を遺伝的アルゴリズムを用いて行ない、現実のカイコガの運動軌跡にかなり近い軌跡を辿らせることに成功した。
|