研究課題/領域番号 |
06302048
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水工水理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
虫明 功臣 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50011060)
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研究分担者 |
沖 大幹 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (50221148)
小池 俊雄 長岡技術科学大学, 建設系, 助教授 (30178173)
椎葉 充晴 京都大学, 防災研究所, 教授 (90026352)
砂田 憲吾 山梨大学, 工学部, 教授 (20020480)
池淵 周一 京都大学, 防災研究所, 教授 (20026181)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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キーワード | 降水地形効果 / 表層土壌水分 / 広域顕熱フラックス / 衛星リモートセンシング / 地表面アルベド / マクロ水文モデル / 構造的モデリング / 大気大循環モデル |
研究概要 |
本研究では物理過程を考慮した大流域スケールでの数値シミュレーションが可能な水文モデルを構築するために必要な基礎的検討を行なった。研究は大きく2つに分けられる。一つ目は大流域での水文・物理量の時空間特性を明らかにすることと、そうした観測量を基に領域平均のフラックスする手法の確立である。 一つ目の時空間特性については、流域面積の変化にともなって流量の時間変化は緩慢になり、それは流域面積の1/2乗を指数とする関数で表されること、流域土壌水変動は貯留量に比べて非常に小さく、2時間程度の時間間隔で変動することが示された。また、土壌水分量の空間分布特性、一様な裸地面では正規分布することが示され、降水については時空間分布特性と地形空間的・時間的持続性ともに地形との関連があることを示した。これらの観測データ解析からマクロ水文モデルとして取り込むべき、各水文過程に対する時空間特性が明らかにされた。こうした観測事実を踏まえて、モデリングする必要があることが次世代マクロ水文モデルには必要であることが示された。 また領域フラックス算定については手法は数種提案されており、様々な土地被覆での領域熱収支をゾンデ観測データ、衛星観測データを算定する手法について検討した結果、手法としてはほぼ確立されており、領域フラックスを算定することができることを示した。しかし、現在あるルーチンデータからだけで算定することは難しく、今後モデルも評価用データセットを作る際には更なる研究が必要であることが示唆された。 二つ目については、数値モデルの計算結果を基に領域平均熱フラックスはその面積率、土地スケールの大きさ、土壌水分量分布、地表面温度分布を考慮しなければ、正確な領域平均フラックスは算定できないことが明らかにされた。また土地被覆のはフラックスに対して効率的に集約化が行えることが線形モデルを用いて明らかにされた。流出モデルについては構造的モデリングシステム並びに分布効果を入れた概念型モデルについて検討が加えられた。既存のモデルから、マクロ水文モデルを構築する際にサブグリッドスケールの分布を考慮する必要があると言う結論が導かれたが、その方法は今後の課題である。 以上2つの相補的な課題研究を通して、マクロ水文モデルに必要な諸条件またそのモデルの検証に関する、現状と数多い新たな知見を示すことがこの研究を通して行なえた。また今後開発すべきマクロ水文モデルの諸要件が明らかにされたので、これを踏まえて、今後は新たな角度からのマクロ水文モデルの開発と構築が急がれる。
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