都市熱環境に配慮したインフラストラクチュア整備に関する総合的研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06302051
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 花木 啓祐 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00134015)
• 研究分担者: 井村 秀文 九州大学, 工学部, 教授 (20203333) ; 北田 敏廣 豊橋技術科学大学, エコロジー工学系, 教授 (40093231) ; 鵜野 伊津志 国立環境研究所, 室長 (70142099) ; 浅枝 隆 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (40134332) ; 玉井 信行 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90010818)
• キーワード: ヒートアイランド / 都市 / エネルギー / インフラストラクチェア / 気候 / モデリング / 環境システム / リモートセンシング

研究概要

最終年度である今年度は班会議を開催したほか、一般公開のシンポジウムを開催し多数の参加者を得た。
花木はメソスケールの気象モデルを用いて、甲府盆地及び東京を対象に解析を行い、現状の都市気候が表現されていることを確認した上で都市の面的な再配置と分散化を行ったときの熱環境面での影響を評価した。守田は、都市の熱環境の支配因子である人工熱に対して、その発生原単位の調査を更に精密なものにし、また従来調査が困難とされていたセクターにまで対象を拡大した。とりわけ従来推定が困難であった交通部門については自動車の交通量分布を用いた推定を実施した。玉井は今年度は河川に着目し、河川流域の土地利用の変化が熱環境にどのような影響を与えるかをシミュレーションによって検討した。鵜野はメソスケールの熱環境シミュレーションの基本となる局地循環モデルを冬期の関東地方に適用しその適合性を検討した。北田は、濃尾平野の熱環境に対し、特に都市の立地によって土地利用が変化したことの影響を解析し、都市の立地がもたらす人工的な熱環境の程度を明らかにした。浅枝は地表面の熱収支に着目した研究を進めると共に、琵琶湖周辺でのメソスケールモデルによる都市気候の解析を行った。その際、都市の立地の密度と温度上昇の関係等を検討した。井村はこれまでの検討結果を踏まえ、都市の熱環境を多面的に評価するための知識データベースの作成を試みた。ここでは、様々な手法での熱環境の把握と要因を整理し、それを統合的に表現している。
一般公開シンポジウムには建築学、気象学、地理学の分野からの参加者も多く、今後もこのような分野との協力関係を維持していくことの必要性が参加者の間から指摘され、更に学際的な共同研究が必要である。

研究成果

• [文献書誌] 上野賢仁,井村秀文: "都市熱環境解析システムに関する研究-熊本市のケーススタディ" 環境システム研究. 24. 569-573 (1996)
• [文献書誌] 上野賢仁,武上成比古: "等温線表示ソフトの開発と緑地内の地表面付近の温度分布観測" 平成8年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集. (1997)
• [文献書誌] 鵜野伊津志.大原利眞: "コンピューターグラフィックスによる大気環境の可視化" 大気環境学会誌. 32. A1-A13 (1997)
• [文献書誌] 下堂薗和宏: "都市の立地や風系が都市熱環境に与える影響〜甲府盆地を対象として〜" 1996年度日本気象学会春季大会講演予稿集. 69. 210 (1996)
• [文献書誌] 久保田 孝幸: "微気候の快適性から見た街区計画の評価に関する研究" 環境システム研究. 24. 141-148 (1996)
• [文献書誌] 藤野毅,浅枝隆: "湖岸の都市熱環境の観測とキャノピ-内外の熱境界層について" 水工学論文集. 41.
• [文献書誌] 浅枝隆,藤野毅: "都市キャノピ-モデルの街区スケールの適用" 水文・水資源学会誌.
• [文献書誌] 岡村聖.北田敏廣: "濃尾平野の局地風に対する地形効果と都市化効果に関する数値解析" 第41回地球環境シンポジウム講演集,土木学会. 83-86 (1996)
• [文献書誌] Kitada,T.: "Effects of urbanization on local winds and thermal environment in Nohbi Plain,coastal region of Central Japan" J.Appl.Neteorology. 36. (1997)
• [文献書誌] 鵜野伊津志,大原利眞: "近畿地域の局地循環シミュレーションと評価" 天気. 43 No.5. 303-317 (1996)
• [文献書誌] Tamai,N: "Impacts of urbanization and weather change on water and heat balances in Tokyo" Proc.10th Congress,APD-IAHR. (1996)