研究分担者 |
宿谷 昌則 武蔵工業大学, 建築学科, 助教授 (20179021)
岩下 剛 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (90253905)
伊藤 直明 東京都立大学, 工学部, 教授 (20087266)
石原 修 熊本大学, 工学部, 教授 (10037971)
荒谷 登 北海道大学, 工学部, 教授 (60001145)
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研究概要 |
各地に散在する多くの伝統的民家についての実測結果を基に温熱,光,湿気,空気環境などの各専門研究者が協力して伝統的民家が有する多くの自然エネルギー利用技術の特徴を明らかにするとともに、これらを現代建築の設計に効果的に適用する手段を提示することを目的として、平成6-8年度の3年間にわたって共同研究を行い,以下の研究成果を得た. (1)各地の特徴ある民家技術の実態調査による現代的適用への足掛かり:吉野は東北地方の民家の熱環境調査を冬季と夏季に行い数値計算によって民家の種々の工夫が室温に及ぼす影響を示した。石原は沖永良部島の高倉と阿蘇小国の民家の二重置屋根構造の調査結果からそれらの暑熱緩和効果を明らかにした.渡辺は九州北部各地の民家を調査し、数値解析により断熱気密住宅の特性を明らかにした.伊藤は東京町田市の民家の茅葺き屋根の蒸発冷却効果を実測結果から解析して明らかにした. (2)評価手法の構築と現代的適用のための基礎資料の提示:田辺は暑熱地域の各種の民族服の通風効果を測定し、夏季の熱的快適性モデルの構築を試みた。宿谷は民家の熱、湿気、光環境に関する自然共生的手法について、エクセルギー・エントロピー理論による評価手法の構築を試みた。浦野は一般住民と建築設計事務所へのアンケート調査結果から各種パッシブクーリング手法の認識の実体と普及上の問題点を明らかにした。岩下は鹿児島市の集合住宅において通風換気の実測と室内空気汚染物質濃度の測定を行い、冷房空間での窓開放について検討した。小玉は数値シミュレーションによる民家の各種パッシブ手法の特性結果から現代的適用の指針を提案した石原は環境共生住宅設計用の九州地域の気候マップを作成した。 (3)民家技術の現代的適用の具体例:荒谷は雪と寒地の伝統的風土の工夫を活かして貯蔵庫を設計試作し、冬季の庫内温度の実測結果を示し,雪の断熱性能と地盤の熱容量を現代に活かす貯蔵法を示した.谷本は民家の土壁の調湿作用を現代材料で生かす手法として吸湿材を含浸させたパッシブ調湿建材を住宅および都市舗装面に適用した実験およびシミュレーションによりその結果を示した.茅葺き屋根の蒸発冷却効果の実験結果を示した。渡辺は接地床のある住宅の実測調査を行い,空気を循環させる中空煉瓦壁のある住宅の実験棟を試作し実験結果を示した。石原は福岡県甘木市の環境共生住宅にて冬季、夏季の温熱環境計測結果を示した。 (4)木村は全体総括を行い,研究結果をまとめて国際会議に発表した.
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