研究概要 |
生物・環境試料の超長期自然界保存とモニタリングについて基礎的研究を行っている。現在までに得られた成果を列挙する。 (1)現在国内で保存中の生物・環境試料について,アンケート調査を行い,種類・保存条件等を取りまとめた。例えば冷凍保存では-80℃での保存が多い。 (2)保存候補地点としては,現在のところ南極大陸のドーム頂が最適である。標高約4,000mで年平均気温は-60℃以下であり,気候が安定しており,氷床の移動もほとんどない。しかも現在文部省極地研究所で氷のコアボーリングを行っている。 (3)保存試料の選択基準について基本的検討を行った。100年後,1000年後の人類社会の複数の状況を想定してそれらに至るシナリオを準備した。それに基づいて100年後,1000年後にも意味を持つような試料の選定方法を検討した。 (4)西暦2000年直前に世界で一斉に均質な試料を採取することが望ましい。その採取の戦略に第1次案を提示した。 一旦保存した試料は全て極地に保存するわけではない。一部は各国の関連機関において液体窒素温度で保存する。保存した試料は1000年後まで開けないのではない。いくつかは20,50,100年後等に開けてモニタリングに提供する。このように試料が最も有効に活用できるような総合的モニタリング戦略について第1次案を提示した。
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