研究課題/領域番号 |
06303012
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大東 肇 京都大学, 農学部, 教授 (80026583)
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研究分担者 |
廣田 満 信州大学, 農学部, 助教授 (90199133)
林 英雄 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (30128772)
川中 正憲 国立予防衛生研究所, 寄生動物部, 室長 (50109964)
西田 利貞 近畿大学, 理学部, 教授 (40011647)
小清水 弘一 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (90026518)
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キーワード | チンパンジー / 薬用植物 / 抗寄生虫活性 / Combretum molle / Trema orientalis / vernania amygdalina / アロマターゼ / トリプシン |
研究概要 |
近年、野生霊長類の採食行動より、非栄養的摂取と考えられる植物の採食意義が問われている。本研究者らはすでに、これら植物の採食が野生霊長類の病気の治療や予防に繋がっていることを生理活性物質の解析より示唆してきた。本総合研究では、この研究をさらに発展させ、種々の領域の研究者の協力の下、野生霊長類の薬的利用植物に含まれる生理活性物質を明らかにし、同時に野生霊長類によるこれら植物の採食意義を生理活性物質的側面より解析することを目標とする。 西田はこれまで20数年に及ぶタンザニア・マハレ山のチンパンジーの採食行動解析より、薬的利用植物を新たに5種指摘した。大東、小清水、川中らは、従前種も含め合計14種について抗寄生虫活性を検討し、Erythrina abyssinicaに抗マラリア、抗住血吸虫、抗アメーバーなど巾広い活性を見い出した。さらにAspilia mossambicensisには強力な抗マラリア活性が、またCombretum molle,Annona senegalensis,Trema orientalis,Lippia plicataには抗住血吸虫活性が確認できた。小清水はC.molleに有意な細胞毒活性があることを見い出している。林はT.orientalisに昆虫の摂食を抑制させる因子の存在することを突き止めた。広田は体調調節に関わる重要な機能、活性酸素産生抑制または消去活性がE.abyssinica,Ximenia americanaにあることを認めた。一方、大東、小清水、川中らは以前より実施していたVernonia amygdalinaの抗寄生虫性ステロイドの研究を深め、新規活性ステロイドを3種単離・構造決定した。また進行中であったA.senegalensis,Hibiscus cannabinusのアロマターゼ阻害物質、ならびにX.americanaのトリプシン阻害物質の精製についても検討を加えた。次年度では、広範な生理活性が認められたE.abyssinica、C.molleの活性物質の研究に重点を移す予定である。
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