研究課題/領域番号 |
06303013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂口 守彦 京都大学, 農学部, 教授 (00027187)
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研究分担者 |
渡部 終五 東京大学, 農学部, 助教授 (40111489)
内田 直行 日本大学, 農獣医学部, 教授 (80151885)
土屋 隆英 上智大学, 理工学部, 教授 (90053694)
木村 茂 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10017056)
よし中 禮二 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (70026483)
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キーワード | コラーゲン / プロテオグリカン / フィブロネクチン / ムコ多糖類 / ゼラチナーゼ / 冷蔵 |
研究概要 |
コラーゲンの鎖構成について比較生化学的観点からの知見を得るため、ウニのアリストートルランタンと棘基部輪状帯の繊維性コラーゲンの構造解析を行い、いずれも殻のものと同じ(α1)_2α2ヘテロ分子からなることを認めた。魚類プロテオグリカンを構成するムコ多糖については、昨年度見出した電気泳動法においてヒアルロン酸より低い移動度を示す成分について精製を試みたものの、NMRによる分析に必要な量を回収できず、構造解析には至らなかった。しかし、魚類由来のグリコサミノグリカンをラットに投与したところ肝機能や骨新生が活性化され、同成分に機能性食品としての価値があることが示唆された。また、コイ線維芽細胞培養液より細胞性フィブロネクチンを精製し、その細胞生物学的諸性質をコイ血漿由来のものと比較した結果、細胞性フィブロネクチンはコイ肝細胞の接着・伸展活性を持たないことを示した。 一方、魚肉冷蔵中のコラーゲン分子の生化学的変化を検討し、V型コラーゲン中の高分子重合物の減少を検出することに成功した。冷蔵中のコラーゲン分解に関わる酵素については、血清にその由来を求めたが有意な活性は見出されなかった。しかし、各種魚類組織抽出液についてザイモグラフィーを用いてゼラチン分解酵素の検索を行なった結果、いずれの魚種にも共通して70kDaから120kDaのセリン型ゼラチナーゼが、また100kDa以下のメタロ型ゼラチナーゼが検出され、冷蔵中のコラーゲン分解への関与が示唆された。イカ類では特にスルメイカで冷蔵中の表皮コラーゲンの可溶化によると考えられる脆弱化が認められた。クルマエビでは冷蔵中にα2(AR-I)成分を含むコラーゲンの生化学的変化に原因すると推察される筋内膜と筋周膜の崩壊が観察された。また、クロアワビのコラーゲン分解に関わる酵素として酸性域に最適pHを示すゼラチナーゼの存在を認めた。
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