研究概要 |
本研究では,次の諸問題を研究対象とし,各項目に示す点について成果を得た. 1)回折データ収集・構造解析方法論の開発・改良---田中,佐藤,樋口 結晶化法の効率化・自動化・迅速化,新しいイメージング・プレート回折計,巨大格子結晶の処理法,低温条件下でのデータ測定法,多波長異常分散法(セレノメチオニン法を含む)を用いた位相決定法 2)立体構造-機能相関解析の新局面---山根,山口,箱嶋,松島 酵素-基質相互作用と反応機構の解析,タンパク質-タンパク質相互作用の構造論的解析,タンパク質のDNA分子認識機構の解明,ミュータント,アイソザイムを利用した構造-機能解析 3)新しい構造解析のターゲットの指向---三木,福山,月原 膜タンパク質複合体の結晶化とX線構造解析,巨大超分子複合体のX線構造解析と分子構築 4)シンクロトロン放射光の利用の新しい展開---渡辺,野中,神谷 ビームラインの光学系の設計・開発,強度測定の高速化・高精度化,時間分解ラウエ法による動的解析,SPring-8における新しい放射光ビームライン建設 5)関連する生体高分子解析法との協調---豊島,白川,新村 電子顕微鏡,電子線回折法による構造解析,核磁気共鳴法による溶液構造決定,生体高分子用の中性子回折計の開発 本研究における成果を広く公表し,多くの研究者の意見を求めるため,平成6年12月3日に公開シンポジウムを開催し,百名を越える参加者があった.そこでは,これまでに得られた多くの研究成果に基づき,タンパク質結晶学が将来どのように構造生物学に寄与していくか,タンパク質結晶学に今,何が求められているかを議論した.
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