研究課題/領域番号 |
06304002
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
太田 朋子 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (80000256)
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研究分担者 |
松尾 義則 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (80219401)
宮下 直彦 京都大学, 農学部, 助教授 (20212243)
田嶋 文生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30183065)
山崎 常行 九州大学, 理学部, 教授 (10108649)
石和 貞男 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (20017205)
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キーワード | 分子集団遺伝学 / 適応進化 / 中立モデル / 遺伝子重複 / DNA多型 / ショウジョウバエ / 遺伝的変異 / 地域分化 |
研究概要 |
遺伝子の適応進化について実験的に多くの成果があった。ショウジョウバエの体内時計遺伝子perについて、D.melanogaster complexの近縁4種の種内および種間の変異を測定した。その結果ソング領域では多様化選択の働きを示唆する場合が見い出された(石和)。またショウジョウバエ,ミトコンドリアのAT-rich領域では進化速度がDNAの二次構造の変化にともなって高まることが示唆された(田村)。ショウジョウバエのシトクロムP-450遺伝子についても変異を調べている(松尾)。植物では、コムギの倍数化と遺伝子の変化との関係を明らかにするため、Rubiscoの小サブユニット(rbcS)遺伝子を用いて調べたところ、A,B,Dすべてのゲノム祖先種で2種類のrbcS遺伝子が見い出された(宮下)。 理論グループは上の実験結果の考察を行った。その他にも次のようないくつかの成果を得た。組織適合抗原の遺伝子は多重遺伝子族で、その多様性生成に関し、点突然変異と遺伝子変換が考えられている。マウス、ウサギ、ウシなどの遺伝子配列を比較し、両者が共に重要であるという結果を得た(太田)。HIVウイルスの進化について抗原部位など重要な領域でのアミノ酸置換が感染後しばらくしてたかまることを示唆した(五條堀)。ノンランダムサンプリングが集団内に存在する遺伝的変異の推定値に及ぼす影響を調べた結果、多くの推定値が影響されることがわかった(田嶋)。また突然変異の効果の分布が、ほぼ中立突然変異モデルにどのように影響をおよぼすかについて研究し、Dispersion Indexが大きくなる条件を示した(舘田)。組み換え率とDNA多型の量との関係について明らかにするため、有害遺伝子のヒッチハイク効果についても解析している(飯塚)。以上のようにいくつもの成果をあげることができた。
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