研究課題/領域番号 |
06304002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 総合 |
研究分野 |
遺伝
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
原田 朋子 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (80000256)
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研究分担者 |
舘田 英典 九州大学, 理学部, 助教授 (70216985)
高畑 尚之 総合研究大学院大学, 教育研究交流センター, 教授 (30124217)
高野 敏行 国立遺伝学研究所, 助手 (90202150)
田嶋 文生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30183065)
山崎 常行 九州大学, 理学部, 教授 (10108649)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 分子集団遺伝学 / 適応進化 / 中立モデル / 遺伝子重複 / DNA多型 / ショウジョウバエ / 遺伝的変異 / 地域分化 |
研究概要 |
分子進化の中立説によって分子レベルでの進化に遺伝的浮動が最も重要な働きをすることが確立されたが、表現型レベルで見られる生物の驚くべき多様性と適応が分子レベルでどのような変化によって引き起こされているかについてはほとんど明らかになっていない。本研究ではこのような適応的進化を起こす変化が、少数座位でのアミノ酸置換、遺伝子調節領域の変化と遺伝子の多重化を含む構造変化であると考え、これらの変異を検出しその進化メカニズムを追及することによって適応進化を分子レベルで解明することを目的した。 遺伝子重複とその後の機能分化は、生物の多様化に大きな貢献をしたことは間違いない。多重遺伝子族に関して自然淘汰や遺伝子変換等が遺伝子の多様性と生物の進化に及ぼした効果をヒトMHC等を材料に解析を行った(太田、高畑、山崎、石和、松尾、高野)。DNA変異の大きさと進化速度は自然淘汰をはじめ、突然変異率、集団構造、集団の大きさ等多くの要因によって影響を受ける。厳密で単純な中立突然変異モデルからずれた場合の理論的解析を行い、より複雑な現実の生物進化の理解を深めた(太田、田嶋、舘田、飯塚、伊奈)。また、DNAデータ・バンクに蓄積された遺伝情報を用いて同義・非同義置換速度を推定したり(太田、五篠堀)、シロイヌナズナ、ショウジョウバエ、食虫類等について集団遺伝学的見地からDNA変異の調査を行うことにより(宮下、田村、北川、日下部)、自然淘汰の種内・種間変異に及ぼす効果を解析した。 分子生物学の発展にともない蛋白質の高次構造や遺伝子間の遺伝的相互作用などより多様な生命現象に関する情報が蓄積されつつある。複雑系の解析は今後ますます重要になることは間違いない。その時、本研究で行われたような集団遺伝学の理論とそれに基づいた実験的検証は今後の分子進化学の発展にとって重要な基礎となるものである。
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