研究課題/領域番号 |
06304011
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三上 哲夫 北海道大学, 農学部, 教授 (50133715)
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研究分担者 |
内宮 博文 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (50142229)
平井 篤志 東京大学, 農学部, 教授 (60023470)
飯田 滋 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (30012777)
門脇 光一 農水省農業生物資源研究所, 分子育種部, 主任研究官
岸谷 幸枝 東北大学, 農学部, 助手 (60005634)
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キーワード | 細胞質遺伝子 / 核遺伝子 / クロストーク / 雄性不稔性 / ゲノム / 遺伝子移行 / リボソームタンパク質遺伝子 / ストレス関連遺伝子 |
研究概要 |
(1)雄性不稔性、生育阻害ならびに斑入り発現における細胞質・核遺伝子クロストークの機序解明、(2)ゲノム間での遺伝子移行の機構解明、(3)核遺伝情報のクロストークにおけるシグナル伝達系の役割の解明、という3課題について研究を展開した。 テンサイにおいては、育種的利用に供されているS型細胞質雄性不稔性に加え、トルコ、パキスタン等原産地を異にする野生ビ-ト起源のS-2,S-3,S-4型細胞質雄性不稔性が知られている。S型雄性不稔に関与するミトコンドリア遺伝子としてcoxIが同定された。その証拠の1つとしてcoxIは核コードの稔性回復遺伝子Rfと相互作用を示すことがあげられる。一方、S-2型やS-3型雄性不稔では、coxI遺伝子の発現(転写レベル)には全く変異が認められなかった。正常株とS-2型雄性不稔株のミトコンドリアゲノムの構造を詳細に比較した結果、7箇所の再編成サイトが明らかとなった。これらの再編成域の中で、転写パターンに影響を及ぼしている領域は4箇所であり、更にRf遺伝子との相互作用の検出される領域はその内の1箇所に絞られた。この結果は、テンサイの雄性不稔性の発現にミトコンドリア(雄性不稔遺伝子)・核遺伝子(Rf)間の多様なクロストークが介在することを示すものである。 その外、イネミトコンドリアより核ゲノムへ移行したrps11遺伝子がミトコンドリアへのターゲットに必要なシグナル配列を獲得しており、しかもこのシグナルは別の遺伝子にも使われていることを明らかにした。また、核遺伝子間クロストーク解明の基礎として、ストレス関連遺伝子(キチナーゼ、解糖系、アルコール代謝系)のマッピングとストレスへの応答・発現地図を作成した。
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