研究課題
基盤研究(A)
3年間で得られた研究成果は次のように要約される。(1)テンサイのミトコンドリア遺伝子coxIの転写産物は正常株、雄性不稔株間で相違する。しかも、稔性回復核遺伝子(Rf)により稔性を回復した株のcoxI転写パターンは正常株のcoxIパターンに復帰する。Rf遺伝子とcoxI転写パターンの分離を調べたところ、共分離は認められず、coxIの発現はRfの作用に応答しないことが判った。一方、coxI遺伝子の転写に影響を及ぼす1個の核遺伝子が見付かり、ミトコンドリア・核遺伝子間クロストーク解明の系として注目される。(2)花粉構成物質合成系にかかわるPALを葯特異的プロモーターに連結しタバコへ導入することによって、雄性不稔植物を得た。(3)イネのミトコンドリアゲノムより核ゲノムへ移行した遺伝子の単離に成功し、ミトコンドリアターゲティング配列の獲得機構を解明した。(4)イネの葉緑体ゲノムより核ゲノムへ移行した4種の遺伝子の構造と発現を解析し、併せてこれらの遺伝子がクラスターを形成せず、別個の染色体に散在することを立証した。(5)イネ科の一部で比較的最近に起ったと考えられる葉緑体から核ゲノムへの遺伝子移行現象を発見した。(6)Capsicum属植物にみられるウィルス病類似症状に関わる核外遺伝子の多型を検出した。(7)マルバアサガオの花と葉の斑入りの易変性変異に関して新規の対立遺伝子間クロストークを見出した。(8)核遺伝子間クロストーク解明の基礎として、small Gタンパク質の相互作用する未知のタンパク質コード遺伝子をクローン化した。(9)イネ乾燥カルス系に特異的なDNA増幅配列を見つけ、遺伝子間クロストークと関連づけて解析を進めた。
すべて その他
すべて 文献書誌 (12件)