研究分担者 |
梶浦 善太 信州大学, 繊維学部, 助手 (10224403)
中垣 雅雄 信州大学, 繊維学部, 助教授 (70135169)
柳沼 利信 名古屋大学, 農学部, 講師 (60135332)
河口 豊 九州大学, 農学部, 助教授 (80038306)
小林 正彦 東京大学, 農学部, 教授 (60162020)
|
研究概要 |
天蚕と柞蚕の血液タンパク質の中から,昆虫が普遍的に持っている貯蔵6量体タンパク質と卵黄タンパク質(ビテロジェニン)を精製した。また,いくつか天蚕と柞蚕に特異的な血液タンパク質を発見し,精製を進めている。天蚕と柞蚕の雌付属腺について発育に伴う組織重とタンパク質を調べ,組織の発達は蛹休眠覚醒後から始まり5日間で完了し,以後羽化までタンパク質を合成貯蔵すること,形態は全くカイコと異なること,およびタンパク質組成も全く異なることを明らかにした。 E^<nk>突然変異のホモ接合体は胚致死であり,全ての腹部体節が胸肢様の付属肢を生じ気門を欠く。遺伝的モザイクの遺伝子moを利用してE^<nk>/E^<nk>細胞とE^<nk>/+細胞の混在するモザイク体を作出した。E^<nk>/E^<nk>領域とE^<nk>/+領域の形態形成は互いに影響し合うことがなかったので,腹部が胸部と区別された分化をするためには+^<Enk>遺伝子の自立的発現が必要である。 哺乳類と相同的なソルビトール脱水素酵素(Bombyx homolog of mammalian sorbitol dehydrogenase:BmSDH)をカイコで検出し,非休眠卵の胚発生におけるBmSDHの遺伝子発現を調査した。BmSDHの転写物は胚発生と幼虫組織形成の2つの発育期に生じた。第1期の胚発生期のBmSDH転写物は卵黄細胞よりむしろ胚子細胞から生じ,第2期の幼虫組織形成期のBmSDH転写物は脂肪体細胞に由来することが明らかにされた。 卵形質に関する変異はいずれも蛹期における卵形成過程の異常に基づくものである。大卵遺伝子Geは卵形を大きくする特異的な形質である。Ge雌成虫の造卵数は正常雌成虫より少ないが,卵当りの卵黄タンパク質含量は多い。そこで,優性3眠蚕にGe遺伝子を導入し,形質発現について調査した。3眠化しても,Ge遺伝子は卵サイズ,卵形態,卵数,卵重及び卵黄タンパク質の含量と組成の発現に関しては4眠蚕の場合と同様に作動し十分機能し得るものであることが明らかになった。
|