研究分担者 |
今井 一郎 京都大学, 農学部, 助教授
深見 公雄 高知大学, 農学部, 助教授 (30181241)
芝 恒男 水産大学校, 製造学科, 助教授
坂田 泰造 鹿児島大学, 水産学部, 助教授 (10041724)
菅原 庸 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80024826)
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研究概要 |
平成4年度および5年度都道養に本年度も初夏に広島湾においてラフィド藻Heterosigma akashiwo赤潮が発生し,その際赤潮消滅時にH.akashiwoを殺滅する細菌数が増加する現象が観察された。同時にChattonella antiqua殺滅細菌の計数も行ったが,こちらは細菌数が増加せず,現場環境水中に存在する赤潮藻殺滅細菌の宿種特異性があることが明らかになった。またその際,0.2μm以下の粒子画分にも殺藻活性が認められ,おそらくこれはウィルスによるものではないかと推測された.今回,殺藻細菌の中の優占種であると思われる細菌を多数分離し,その16SリボゾームDNAの制限酵素処理断片長(RFLP)の比較から,数種の分類群の細菌が存在することが明らかになった。現在その詳細を解析中である。すでに分離されていたいくつかの渦鞭毛藻Gymunodinium nagasakiense殺滅細菌の16SrRNA遺伝子の塩基配列を決定し,滑走細菌Cytophaga属に属すると思われる細菌株の他に,γ-プロテオバクテリアサブグループに属するもののデータベース中の細菌いずれとも低い相同性しか見られなかった新奇な細菌株も存在した.殺藻細菌の中には宿主微細藻を直接攻撃するものがある一方,その培養ろ液中に殺藻細菌が認められ,何らかの殺藻因子を産生・排出しているものも存在した.現在その殺藻因子の分離・精製を試みている.鹿児島湾沿岸海水およびクルマエビ養殖場海水からは,珪藻重層寒天培地法によって珪藻Chaetoceros ceratosporumに対する新たな海洋細菌が分離され,Alteromonas属,Saprospira属およびVitreoscilla属細菌と同定された.その際,細菌以外にも珪藻殺藻性を有するAmeba類やLabyrinthula属も見いだされた。
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