研究分担者 |
黒崎 久仁彦 千葉大学, 医学部, 講師 (60240701)
鈴木 広一 大阪医科大学, 医学部, 教授 (60171211)
山内 春夫 新潟大学, 医学部, 教授 (30134919)
玉置 嘉広 大分医科大学, 医学部, 教授 (20028377)
勝又 義直 名古屋大学, 医学部, 教授 (30109326)
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研究概要 |
人獣鑑定、性別鑑定、個人識別に関して、試料からの効率的DNA抽出、有効なDNA多型性領域の選定、目的領域の分析に合致した検査技術、データの適切な処理法、鑑定の倫理的評価につき分担研究を行い、シンポジウムおよび班会議を開催して発表・討議を行った。 1)ヒト特異的DNA領域(HS5)をPCR増幅にて検出し、人獣鑑定を行うことが可能となった。三大人種のいずれの民族も陽性バンドが出現したが、ヒト以外の動物ではPCR増幅バンドは検出されなかった。法医学的試料(唾液、精液、血痕、毛髪、軟部組織、骨、歯牙)につき応用検査した結果ヒト特異的バンドの検出が可能であった。 2)性別鑑定のため、Y染色体特有配列としてSPY(sex determining region Y)およびDYS19,DYZ3,DYZ1につき実務への応用が可能となった。更にY染色体のSTR反復差から個人識別への応用も可能となった。X染色体特有配列として、DXZ1,PGK1,DXZ4,DXS24,HRRTにつき検討を行った結果、いずれも応用可能なことが判明した。 3)法医学的個人識別にはmicrosatellite DNA領域が最も多く使用されている。これらのうち有効な座を組み合わせて、同一ゲルにて同時検出する方法を考察した結果、ACTBP2,AluVpAの組み合わせ、D8S320,FGA,AluVpAの組み合わせのほか、D16S537,D8S320,FGA,D11S554,TH01の組み合わせが可能であった。同時に日本人集団(200-300名)に対する上記座位の遺伝子頻度に関するデータが得られた。 このほかMVR-PCR(minisatellite variant repeat polymerase chain reaction)法につき検討した結果、唾液斑、毛根、血痕から1ngのDNA抽出が可能であれば充分個人識別に有効であることが判明した。 4)高分子DNAの有効な抽出方法として、磁気を利用した抽出法(Biomag法)が有効であり、また目的領域のDNA分析にはキャピラリー式DNA analyserにより塩基配列の解析を行うことが重要であり、更に電気泳動法を用いないマススペクトロメーター分析に基づくSequencingの検討を行う必要も出てきた。
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