研究課題/領域番号 |
06304030
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
外山 淳治 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (20023658)
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研究分担者 |
井上 通敏 大阪大学, 医学部, 教授 (30028401)
友池 仁暢 山形大学, 医学部, 教授 (90112333)
真島 三郎 昭和大学, 医学部, 教授 (30010333)
沢登 徹 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (00014217)
清末 達人 大分医科大学, 医学部, 助手 (90128348)
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キーワード | 致死性不整脈 / 心室細動 / 興奮伝導異方向性 / Kチャネルブロッカー / 電気ショック / 細胞間結合 |
研究概要 |
致死性不整脈を代表する心室細動発生の機構について検討した。心室細動が発生する背景としては、a)心室筋興奮伝導の異方向性、b)心室興奮伝導の遅延、c)心室再分極過程の不均一性が重要であることが3次元心電図シミュレーションモデルで判明した(岡崎、友池、井上通敏、真島)。心室筋興奮伝導の異方向性については、心筋細胞間結合を司るギャップ結合の分布と機能が重要であり、とくにその機能が神経伝達物質、細胞代謝により修飾を受けることが判明した(外山、清末)。虚血などの病態により心筋に対するエネルギー(ATP)供給が不全になるとNa-Kポンプの低下、細胞内Ca制御が不全となり心筋の興奮伝導が低下し、さらに心筋の再分極が病態に応じて不均一化しランダムエントリ-が誘発され易くなる。加えてその病態に反応した自律神経系の緊張が変化し細動誘発に寄与することが考えられた(小川、井上博)。心室細動の抑止をするためには上記の病態の改善を図ることが必要であるが、近年開発されたKチャネル(I_K)ブロッカーの使用が問題となっている。MS-551あるいはsematilideを投与して病態により不均一化した心室再分極過程を均一化する試みは、急性実験では有効であるものの、臨床的投与では同薬物によるTorsades de Pointesの誘発を防ぐ投与法を開発する必要がある(笠貫、沢登、外山)。心室細動の背景には、その原因となる基礎心疾患が存在するので、その病態が進行性であれば、細動のみを抑止することを目的とした薬物(抗不整脈薬)のみでは充分な効果は得られぬ。従って次善の手段として心室細動が発生した際にこれを電気ショックにより治療する植込み型除細動器の開発がなされている。その基礎的研究として電気ショックパルス波形と除細動効果を検討したところ、2相性パルスが単相性よりも低いエネルギーで除細動が可能であることが判明した(外山)。
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