研究課題/領域番号 |
06304032
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 俊彦 大阪大学, 医学部, 教授 (70028512)
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研究分担者 |
鈴木 紀夫 東京大学, 医学部, 教授 (10010050)
中野 政雄 琉球大学, 医学部, 教授 (80155788)
山下 孝 癌研究会癌研究所, 放射線治療科, 部長 (70110939)
増田 康治 九州大学, 医学部, 教授 (10037377)
野村 大成 大阪大学, 医学部, 教授 (90089871)
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キーワード | 高線量率分割照射 / 低線量率連続照射 / 密封小線源治療 / HDR / LDR |
研究概要 |
低線量率連続照射に対する高線量率分割照射の代替性を考えるさいには放射線障害からの回復について調べる必要がある。1回照射と1日2回の多分割照射の比較では、細胞致死効果は多分割で低下し、各照射後の回復が寄与している。しかし、10T1/2細胞では照射回数を重ねるに従い、回復能力が低下し、特にslow type PLDRの能力が低下することが示唆された。また、42.1cGy/hのLDRと1回5.06Gy、1日2回のHDR照射では生物学的効果比はLDR/HDRで0.64-0.72であった。この差異は細胞の障害修復能などで引き起こされたものと考えられる。さらに効果、修復能の検討を行う。 舌癌の密封小線源治療におけるHDRとLDRの第III相比較試験:舌癌T1-2NOMOで1平面刺入例、舌縁発生例、厚みは10mm以下、PSは0-3、重篤な合併症を有しないものを対象とする。治療条件は、1)HDR群;60Gy/10回/日、2)LDR群;70Gy/4-9日とする。HDR群14例、LDR群15例が解析された。線量率はHDR群0.99-3.4Gy/min、LDR群0.30-0.81Gy/hであった。局所再発2例はすべてLDR群であった。頚部リンパ節再発はHDR群3例、LDR群4例にみられた。HRDとLDRでこれまでのところ効果よび副作用に差は認められなった。関根ら(東京慈恵医大)によるシミュレーションモデルによればHDR群の60Gy/10回/6日とLDR群の70Gy/7日が等価との決定は、半修復時間が1.5時間とすれば腫瘍のα/βは約25となり、通常の報告のなかで大きい値となる。 舌癌の密閉小線源治療におけるHDRは従来のLDRの代替となりうる。生物実験と線量容積関係の物理的解析を加味し、シミュレーションモデルにより各臓器癌に対するHDRの標準照射様式の確立と適応拡大の研究を進める。
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