研究課題/領域番号 |
06304034
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
板倉 光夫 徳島大学, 医学部, 教授 (60134227)
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研究分担者 |
菊谷 仁 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助教授 (80161412)
小島 至 群馬大学, 内分泌研究所, 教授 (60143492)
宮崎 純一 東北大学, 加齢医学研究所・遺伝子導入分野, 教授 (10200156)
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キーワード | 膵ラ島B細胞 / 糖尿病 / 遺伝子治療 / I型糖尿病 / サイトカイン / 自己免疫疾患 / 自己抗原 / リンパ球 |
研究概要 |
インスリンを合成分泌する膵ラ島B細胞の代謝状態を規定する因子を分子生物学的な方法で解析する研究を行い、以下の(1)から(6)の研究成果を得た。(1)ヘキソキナーゼ、グルコーストランスポーター1、の各cDNAを発現ベクターに組み込み、培養膵ラ島B細胞であるMIN6細胞に導入し、グルコースの取り込み速度、利用率、インスリン分泌を異なるグルコース濃度で検討し、グルコキナーゼが血糖値のセンサーとして働いていることを明らかにした。(2)免疫抑制性のサイトカインであるIL-10、およびTGF-βを膵ラ島A細胞から発現するトランスジェニックMODマウスを作成している.IL-10は、NODマウスの糖尿病を増悪させた。潜在型のTGF-βをグルカゴンのプルモーターに結合した組換え体をNODマウスの授精卵に微量注入し、数系統のトランスジェニックマウスを得た。(3)ラットの膵原基の内分泌前駆細胞、および、膵部分切除後の再生膵組織中の内分泌前駆細胞にアクチビンAが発現していることを確認した。膵外分泌腺由来のAR42J細胞がアクチビンAにより神経様細胞に分化した。また、膵ラ島B細胞に対してアクチビンAは、ATP感受性カリウムチャンネルを抑制し、細胞膜を脱分極して電位依存性カルシウムチャンネルを抑制してカルシウムの流入を増加させた。(4)膵ラ島B細胞特異的な5種類のT細胞クローンはNODscidマウスに移入することで膵島炎を誘導するが、これらのうち少なくとも2種類は、異なる自己抗原エピトープを認識し、5種類のT細胞クローンはいずれもグルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)とは反応しない。そこで、GADを発現するNODトランスジェニックマウスを作成し、GADに対する免疫学的寛容状態における糖尿病の発症の有無を検討する研究を開始した。(5)膵ラ島B細胞特異的なcDNAクローンを培養膵ラ島B細胞から得られたクローンの中から選択し、現在その全塩基配列の決定を行っている。また、(6)IL-10を導入した膵ラ島B細胞特異的リンパ球の養子移入により、I型糖尿病の体細胞遺伝子治療の動物モデルの確立を行っている。
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