研究課題/領域番号 |
06304035
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研究種目 |
総合研究(A)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
土肥 雪彦 広島大学, 医学部, 教授 (90034024)
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研究分担者 |
内田 久則 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30050420)
磯野 可一 千葉大学, 医学部, 教授 (70009489)
深尾 立 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (50091921)
森 昌造 東北大学, 医学部, 教授 (70004877)
内野 純一 北海道大学, 医学部, 教授 (40000989)
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キーワード | 脳死ドナー / 再灌流障害 / 肝移植 / 抗接着分子抗体 / 臓器移植ネットワーク / 免疫寛容 / 異種移植 / 生体部分肝移植 |
研究概要 |
1)脳死ドナーの管理に関しての研究では、ブタを使った肝移植実験において、死戦期での栄養管理は肝グリコーゲン貯蓄の多寡が移植成績の向上に大きく関与していることを明らかにした(折田)。多臓器同時摘出法として、腹腔内冷却低体温からの灌流法と常温からの急速冷却灌流法とでは差を認めなかった(平)。また人工心肺による心停止後の肝臓再酸素化により肝実質細胞は機能的構造的に改善したが、類洞内細胞障害は防止できず移植成績は不良でもう一段の工夫が必要である(森)。ラットのモデルでも類洞内皮細胞の保護手段を加えることで再灌流障害防止に成功した(杉町)。その他にも雑種成犬虚血再灌流モデルで、再灌流後の顆粒球内エラスターゼ活性の上昇(深尾)や、マウスへの抗好中球接着分子抗体(抗Mac-1抗体)投与により再灌流障害抑制に効果を認めた(内野)ことより再灌流障害機構の一因として白血球の関与の重要性が再認識された。肝グラフト移植前機能と蛋白合成能(HPS)が相関する事をラット肝移植(冷保存)モデルで示した(磯野)。 公正な臓器分配法として全国を5ブロックに分割し、各ブロックセンターとこれらを結ぶネットワークセンターにより全国の情報を統合する「日本臓器移植ネットワークセンター」構想に肝移植のためのネットワークをすりあわせ、より公平性、機動性の高いネットワークの準備を進めている(太田)。 2)生体部分肝移植症例において、近赤外光分析を用いた肝組織への酸素供給と代謝負荷を検討した結果、生体部分肝移植の成人症例への適応拡大の可能性が示唆された(山岡)。 3)免疫抑制を中心とした術後管理に関する研究では、ラット肝移植モデルにおいて、経門脈的ドナー抗原移入による免疫抑制の誘導(門田)や、ドナー抗原と抗接着分子抗体の投与による免疫寛容の誘導(内田)が可能であった。またウイルス肝炎患者の移植後の再感染が約80%に認められる。新しい抗ウイルス剤(Lamivudine)が,HBV増殖抑制に有効であることが慢性肝炎患者で示された(谷川)。 4)異種移植に関しては、レトロウイルス法によるヒト補体制御因子遺伝子導入(高木)に成功している。また、近縁異種動物間(ハムスター→ラット)での膵移植モデルがFK506と脾摘の併用により確立されたので、膵を異種移植モデルでの検討を始める(土肥)。
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