研究概要 |
この研究は,平成5年度に政令改正で臨床生理機能検査装置の一つとして,公式に認められた熱画像検査法の臨床における診断基準の作成に関する研究である.本研究においては,平成3年以来,この研究グループで行われてきたサーモグラフィーの取り扱い基準の研究のうち,既に,基本的に見解の一致をみている温度生理学的知識の基準と,サーモグラフィー装置及び,その物理学的な取り扱い条件に関する工学的基準,そして更に,基本的な画像処理技術に関する基準を基礎として利用した.その上で,臨床各科のサーモロジー専門家たちに,現在の診断の根拠となっている体表温度の生理的表現の基礎理論,神経皮節や末梢血流分布と体表温度分布の関係,さらに深部温度や筋肉血流さらには各種の臓器における血流の分布と体表温の関係,といった病態生理学的根拠が,各疾患にどのように影響するかを,臨床各科横断的に提案,討論を行なった.このため日本サーモロジー学会の中から選ばれた臨床各科の代表20名で,サーモロジー診断基準に関するサブワーキンググループを作り,その中では,統一規格を持つ装置と手順を用い,多数の臨床症例の検証を経て,診断の基準的なガイドラインの第1次試案を作りあげた.その結果は,平成7年度の国際サーモロジー学会で世界の標準として日本から提案されることになっている.ここでは,基準的な静的な撮影と,負荷試験による診断手法による病態生理機能の診断の原理の確立と,確定診断に至る道筋の確立が主要な研究対象となった.さらに最近急速に発達が始まった,高速のディジタル動画像による熱画像検査法の診断への取り込みや,生体の熱ゆらぎの解析といった新しい診断手法の登場にも対処できるような標準機器を用意し,各臨床チームで廻り持ちで共同利用をするためのシステム作りが行なわれた.
|