研究課題/領域番号 |
06304049
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 総合 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
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研究分担者 |
江島 洋介 京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (50127057)
丹羽 太貫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (80093293)
米井 脩治 京都大学, 理学部, 教授 (60093340)
石崎 寛治 愛知県がんセンター研究所, 放射線部, 部長 (70111987)
大西 武雄 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60094554)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 放射線応答 / 遺伝子発現 / 情報伝達 / 細胞周期制御 / 酸化ストレス / 突然変異 / 遺伝的不安定性 / 放射線感受性 |
研究概要 |
放射線を刺激としてえる放射線生物作用の概念は新しく、本研究はその放射線応答の遺伝子制御の機構を明らかにし放射線影響の新しい生物も鋭敏に反応し、適応応答と呼ばれる耐性を獲得するとともに、増殖刺激となって一過性の細胞増殖が誘導される。適応応答はCキナーゼとp38MAPキナーゼを介した情報伝達ループによって誘導され、長時間持続する。伝達された情報はDNA組換え機構を制御し、誤りの少ない修復が優先される(佐々木)。この過程にp53蛋白が関係していることが明らかになったが、p38MAPキナーゼとp53蛋白の関係は明らかでない。p53はHSP72などの熱ショック蛋白と会合することが分かったので(大西)、HSPを介した制御が考えられる。p53蛋白は低線量の放射線でも蓄積されるが、微小重力の下でも蓄積誘導が認められる(大西)。p53遺伝子がストレス応答のキ-遺伝子となっていることを示唆する。p53欠損マウスの細胞では低線量放射線に対する適応応答が誘導されないが(佐々木)、この細胞での突然変異は野生型マウスの細胞と紫外線誘発突然変異の型の分布が異なる(石崎)。p53蛋白がDNAの修復を制御し、突然変異の効率と型を変えていることが考えられる。DNAの酸化損傷の中で最も重要のと考えられるフォルミルウラシルの修復実験経が確立された(米井)。ショウジョウバエを使った実験で精子を照射した場合に受精後雌側のミニサテライトが変異することが分かった(丹羽)。損傷の認識が細胞全体の遺伝的不安定性を誘導することが確実なものとなった。ヒトの放射線感受性遺伝子ATMの類似遺伝子の分離には至らなかったが、アタキシテ・ラテンジエクタシア患者でATM遺伝子の新しい突然変異が明らかになった(江島)。
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