研究分担者 |
太和田 勝久 九州大学, 理学部, 助教授 (20029507)
片山 栄作 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50111505)
若林 克三 大阪大学, 基礎工学部, 助教授 (00029521)
若林 健之 東京大学, 理学部, 教授 (90011717)
柳田 敏雄 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (30089883)
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研究概要 |
研究代表者は,ミオシンのモータードメインS1によるATP分解反応を誘電分散測定法によって解析した.その結果,S1に拘束されている約2,100個の水分子のうち6%にあたる約120分子がATP加水分解にともなって遊離され、Pi遊離とともに再び拘束されることが明らかになった.すなわち,S1-ATP分解サイクルは分子表面に存在する疎水性残基の溶媒露出度の変化と共役していることが明らかになった.若林(健)は冷電界放出型電子銃を備えた電子顕微鏡を用いたホログラフィック像再構成法を開発し,生きたミオシン単一分子について,ヌクレオチドを結合していないミオシン頭部及びADPやADP・Piを結合した頭部をそれぞれ可視化するに成功した.須藤は,細胞性粘菌Dictyostlium discoideumのミオシンIIの遺伝子操作によりモーター活性を保持している最小ドメインを作成し,X線結晶解析を行い,結合しているヌクレオチドによる構造の相違点を3Dレベルで明らかにした.安藤はHMMのS2部先端にビオチンを導入し,ウルトラアビジンをコートした蛍光性アクリルアミドビーズに結合させて1分子を可視化した.また,原子間力顕微鏡をもちいてHMMとアクチンとの間に働く力を計測することに成功した.片山は高い空間および時間分解能を有するマイカ細片/急速凍結フリーズレプリカ電子顕微鏡法によって滑り運動しているミオシン頭部の構造がアクチン,ATPとの結合によって微妙に変化していることを明らかにした.柳田は,各種モーター一分子系の張力,変位ゆらぎの解析,一分子ATP分解反応の解析,一分子内エネルギー転移反応の解析を行い,タンパク質モーターによる化学-力学エネルギー変換に関する新しい考えを提唱した.
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