生体信号におけるゆらぎとリズムの臨床医学的意義

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06304056
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 山本 光璋 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (40004618)
• 研究分担者: 八名 和夫 法政大学, 工学部, 教授 (50138244) ; 上野 照剛 東京大学, 医学部, 教授 (00037988) ; 小倉 久直 京都大学, 工学部, 教授 (50025954) ; 佐藤 俊輔 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (60014015) ; 間野 忠明 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30023659)
• キーワード: 生体信号解析 / サーカディアンリズム / 1 / fゆらぎ / 心拍変動 / 胃電図 / 瞳孔径ゆらぎ / 高血圧

研究概要

生体は、その発生から、発達、成長、老化という、非定常な加齢現象の中で、さまざまな時間スケールのリズムとゆらぎを示す存在である。疾患の治療に当たっては、この非定常性・リズム・ゆらぎという3要素を考慮することが重要であると考えられる。本研究では、同一固体に於ける生体信号を出来うるかぎり長時間にわたり計測し、解析することにより、診断精度を飛躍的に向上させ、延ては治療効果を高めると共に、予防医学への展開の可能性を探ることを目的にしている。
1月21、22日両日に行われた研究会では、各分担者により、以下のような研究内容の紹介が行われた。(1)植え込み型テレメーターシステムを用いて高血圧ラットの概日リズムの変動に対する投薬効果を調べる実験が開始されたこと。(2)48時間血圧連続測定法により、妊娠各期及び産褥期における血圧のゆらぎを再検討し、正常血圧を新たに設定した。(3)体表面から胃の電気活動を記録することが可能であること(胃電図)。この電位は、胃体上部大彎側にあるペースメーカーから1分間に3回の割合で周期的に発せられていること。しかも、糖尿病性自律神経障害患者などでは、このリズムにみだれが見られること。(4)非定常な生体信号の持つ周波数スペクトル成分のゆらぎを見るために、complex demodulation法が有効であること。(5)ヒトの目における瞳孔径に呼吸性ゆらぎが見られること、また、0.5Hz以下の周波数領域では心拍ゆらぎ類似したスペクトルパターンが見られること。(6)連続100時間に及ぶネコの心拍リズムのゆらぎの解析から、10^<-4>Hz以上の帯域で1/fゆらぎが見られること。ただし、10^<-5>〜10^<-4>Hzにおいては、スペクトルが平坦化する傾向があること。

研究成果

• [文献書誌] Mitsuaki YAMAMOTO: "Phenomenology and mechanism of 1/f fluctuations in neuronal activities of cat's central nervous system" Proceedings of 13-th international conference on noise in physical systems and 1/f fluctuations. (発表予定). (1995)
• [文献書誌] Mitsuaki YAMAMOTO: "A further study on 1/f fluctuations in cat's inter-heartbeat intervals" Proceedings of 13-th international conference on noise in physical systems and 1/f fluctuations. (発表予定). (1995)
• [文献書誌] 山本光璋: "睡眠時ニューロン活動の時系列特性" 神経研究の進歩. 39. 29-40 (1995)
• [文献書誌] 山本光璋: "生体1/fゆらぎ研究の現状" 日本ME学会雑誌BME. 8. 1-4 (1994)
• [文献書誌] 山本光璋: "睡眠とニューロン活動の1/fゆらぎ" 日本ME学会雑誌BME. 8. 49-57 (1994)
• [文献書誌] 矢永尚士: "温浴の精神性発汗に及ぼす作用" 発汗学. (発表予定). (1995)
• [文献書誌] 佐藤俊輔: "ゆらぎと解析法" SUTBULLTIN. 12. 12-17 (1994)
• [文献書誌] Shunsnke SATO: "Analyses of nonlinear systems and their application to biology" Frontiers of Med.Biol.Engineering. 6. 1-35 (1994)
• [文献書誌] T.Yanaga: "Monitoring of palmar sweating for the evaluation of mental stress during daily life" J.Ambnlatory Monitoring. (発表予定).
• [文献書誌] H.Ogura: "Representation of a point process and lo.gic functionals of the Poisson process" Proceedings 1994 Int.Symp.on Information Theory and application. 2. 1363-1368 (1994)
• [文献書誌] Y.Sngiyama: "Short term fluctuations in muscle sympathetic nerve activity in man" Environmental Medicine. 38. 163-166 (1994)
• [文献書誌] A.Kyura: "Long latency motor evoked response to magnetic stimmlation of the spinal roots in the human neck" IEEE Transactions on Magnetics. 30. 4719-4721 (1994)
• [文献書誌] H.Yoshida: "Time varying properties of respiratory fluctnations in pupll diameter of human eyes" Method of Information in Medicine. 33. 46-48 (1994)
• [文献書誌] H.Mizuta: "Change in impnlse response of heart rate to instantaneons lung volume" Method of Information in Medicine. 33. 20-21 (1994)
• [文献書誌] 水田博久: "心拍ゆらぎの1/fスペクトル推定" 日本ME学会雑誌BME. 8. 13-16 (1994)