研究課題
基盤研究(B)
本研究の目的は、日本におけるアメリカ研究文献のデータベース作成のためのシステム構築である。アメリカ研究は学際的特質を強くもち、個々の研究領域も歴史・政治・経済・社会・文化・文学・地理・文化人類学・芸術・エスニシティ・女性と広大な範囲にわたり、そのため研究業績の収集とデータ・ペース化が長く求められていた。東京大学アメリカ研究資料センターはこれまでの文献資料の収集と、3年間の基礎調査に基づき、平成6年度より本格的な研究資料のデータ・ベース化に取り組むこととなり、まず、入力フォーマットの決定とキーワードの選定からスタートした。本分野の中心的研究者グループであるアメリカ学会会員全員に論文のデータの申告を依頼し、研究分担者の専門分野の調査によるキーワードを中心に、アメリカ研究に固有の問題についての議論を重ねた。2年目にあたる平成7年度は、データ・ベース分類コードの作成を中心に研究を行った。さらに研究者の自己申告によるキーワードも参考に21世紀を展望できるデータ・ベースの作成があらたな研究目標となった。最終年度である平成8年度は、個人のコンピュータで検索できるCD-ROMを試作し、改善すべき点を繰り返し討論した。また、アメリカ研究資料センターの利用者に実際に使用してもらった上で、意見をきく機会をもったが非常に有益であった。アメリカおよび日米関係に関する研究動静は、大学や付属研究所の研究者のみならず、社会のさまざまな分野の注目するところである事実を認識し、質の高い、しかも使いやすいデータ・ベースの作成が肝要であることが本基礎研究参加者の結論である。今後の重要課題は国際協力であり、データ・ベースによるアメリカ研究の成果の国際的情報発信、具体的には、インターフェイスの英文化、全文テキストデータの整備と提供、CROSSROADSといった海外の研究者とのアメリカ研究情報提供事業との連携が考えられる。