研究課題/領域番号 |
06305009
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
植村 慶一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90049792)
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研究分担者 |
館 延忠 札医大, 医学部, 講師 (80136944)
早坂 清 山形大, 医学部, 教授 (20142961)
大西 晃生 産業医大, 医学部, 助教授 (50091278)
武田 泰生 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60245462)
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キーワード | 遺伝性ニューロパチー / PASII / PMP22蛋白 / Charcot-Marie-Tooth病 / PO蛋白 / Dejerine-Sottas病 / Connexin32 / 先天性低ミエリン形成性ニューロパチー(CHN) / 圧迫麻痺性遺伝性ニューロパチー(HNPP) |
研究概要 |
各種の遺伝性ニューロパチーの原因となる遺伝子/蛋白の変異を解明し、それらの変異による機能変化について、分子生物学的、病態生理学的、臨床医学的研究を行った。PASII/PMP22蛋白については遺伝子重複またはポイント変異がCharcot-Marie-Tooth病(CMT)1Aの原因となるが、早坂、植村、舘らは共同研究によって、P0の遺伝子はヒトでは1q22-q23染色体上にあり、異なったポイント変異がCMT1BとDejerine-Sottas病(DS)の原因になることを示した。日本の遺伝性ニューロパチー32例のうち、78%がCMT 1Aであり、56%がPASII/PMP22遺伝子の重複によるもので、その割合は欧米と近似する。PASII/PMP22蛋白のG93R、Connexin32のS26Lの新しい変異が見出され、圧迫麻痺性遺伝性ニューロパチー(HNPP)7例のうち6例にPASII/PMP22遺伝子の欠損が確認された(大西)。CMT IIIにはDSと先天性低ミエリン形成性ニューロパチー(CHN)が含まれるが、ミエリン崩壊はDSでは見られるが、CHNでは見られない。P0蛋白のG138R変異のDS例では、P0mRNAと蛋白発現量はほぼ正常であり、変異によって接着能が変化する可能性が示された(館)。CHNの兄弟例について、ミエリン蛋白の検索を行ない、P2蛋白の発現の減少を見出したが、遺伝子の翻訳領域には変異が見出されなかった(早坂)。PASII/PMP22蛋白のアミノ末端ペプチド部分に対するポリクローナル抗体はヒト、ラット、マウス末梢ミエリンPASII/PMP22蛋白に反応するが、コイ中枢ミエリン蛋白とは反応しなかった。PASII/PMP22蛋白を培養細胞に発現させ、機能解析を行った結果、この蛋白は細胞接着能は示さないこと、細胞増殖抑制作用のあることが示された(武田、植村)。ミエリン形成にはPASII/PMP22蛋白のレベルが一定に保持されることが必要条件であるが、この細胞増殖抑制作用がその原因となることが示唆された。
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