研究課題/領域番号 |
06352037
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
熊澤 峰夫 名古屋大学, 理学部, 教授 (60022571)
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研究分担者 |
兵野 洋三 東京大学, 理学系研究科, 教授 (90011709)
瀬野 徹三 東京大学, 地震研究所, 助教授 (10216567)
大江 昌嗣 国立天文台, 水沢観測センター, 教授 (00088783)
川上 紳一 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (80183036)
丸山 茂徳 東京工業大学, 理学部, 教授 (50111737)
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キーワード | 地球史 / 地球システム / 生命の進化 / 縞縞学 / マントル対流 |
研究概要 |
本総研では平成7年発足重点領域研究「全地球史解読」の研究目標に向けて進むために避けて通れない最も基本となる事項を洗い出し、技術的な検討を行うとともに、研究の組織作りをすすめた。具体的には9月に「全地球史解読シンポジウム」を東京大学地震研究所において開催し、研究の具体的課題と研究戦略を議論するとともに、いくつかの小集会を重ね、以下のような研究の重点課題を洗いだし、それらへの取り組みを開始した。 1)「地球史記録テープ」というべき岩石試料の確保について、西オーストラリア、グリーンランド、南部アフリカなどの地質を評価し、これらが研究対象として極めてふさわしいものであることが明らかになった。その結果、これらの地域の地質調査を実施し、試料を確保する努力を開始した。 2)膨大な量の岩石試料を効率よく記載し、データベースを作成する新しい手法を見出す必要が指摘され、そのための装置開発等が開始された。 3)試料の絶対年代測定を世界最高の精度で行うための手法の開発が開始された。また、縞状堆積物の縞から地球表層システムのリズムとイベントをさぐり、同時に天体力学的とけいを確立する方策について、具体的な展望が示された。 4)岩石試料に対してさまざまな高度な分析を行い、過去の地球の進化を読みだす方策について議論した。特に有機物や生命活動に特徴的にかかわる元素を手掛かりに、生命の起源と進化をさぐる課題と展望が示された。 5)マントル対流の様式といった地球内部のダイナミクスが、生物圏を含めた地球表層システムの進化に大きくかかわる可能性が注目され、その過程をモデル化する方策が議論された。 6)「地球と生命の共進化」という課題が、本重点領域研究の大きな研究課題の柱のひとつとして設定された。生物学者や有機化学者とともに地球科学者が連携をとって総合的な地球史・生命史を確立しようとする問題意識と組織が形成された。 以上のように重点領域研究の発足に望んでいくつかの重点課題が設定され、研究の戦略と具体的方策について重要なコンセンサスが得られた。いくつかの課題についてはすでにその努力が開始されており、きわめて短時間のうちに目にみえる成果がでてくることが期待される。
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